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立ち退き料の相場を5つのポイントで徹底解説

 2018/04/28 建替え
この記事は約 8 分で読めます。 6,683 Views

明渡請求、解約予告、立ち退き料の交渉、そして立ち退き実行までの流れを解説。建物解体の際に考えるべき「立ち退き料の相場」について、一軒家、店舗、ビルなどのケースに共通する5つの考え方を解説します。

「立ち退き料」の算出根拠としては、

(1)借家権買取価格

(2)移転費用(引越代)

(3)営業補償費用(営業上の損失)

(4)造作買取価格(原状回復、内装費)

(5)慰謝料+α

の5つが主にあります。

そこで不動産オーナー経営学院が独自の調査をおこない、全国の立ち退き事例を集めた結果、実は弁護士が入り、かつ立ち退きの裁判に至ったケースというのは全体の3%程度であることがわかりました。

つまり、ほとんどが「立ち退き交渉は当事者間の示談による解決」でした。

具体的には、法律上の解釈を加味したうえで、本人あるいは不動産会社を介しての「経験則による立ち退き解決」です。

たとえば、立ち退きの実務においては、駆け引きによる交渉や、立ち退き理由を明示したうえでの金銭交渉などが主となります。

その結果、立ち退きに関する情報は「表に出にくい」のが実状です。そこで、このサイトでは、住居、店舗、事務所の各用途に分けて、全国の立ち退き交渉についてケーススタディを用いて解説します。

不動産オーナー経営学院 プロフィール
日本で唯一の不動産オーナーによる不動産オーナーのための学校。だれもが不動産経営を学べるようにと不動産の「ふ」の字から学べる基礎編講座と実務中心の応用編・実践編コースがあります。(www.reibs.jp
横山篤司

執筆者

横山篤司(よこやまあつし)

一般社団法人不動産オーナー経営学院代表理事/学長

宅地建物取引士、事業承継マネージャー、マンション管理業務主任者の資格を保有。 これまで日本で10,000人以上のオーナーと話し、事例や成功体験を研究。創業80年名古屋の三代目地主の家系に生まれる。ニューヨークでの大学院留学、東京で外資系投資銀行のモルガンスタンレーに勤め、プロの不動産投資を学び、家業再生に活かしたことで事業再生、借金を数年で完済することに成功。現在はビルやマンション、商業施設、駐車場等を経営。 中小企業庁主催「事業承継セミナー2017」モデル企業登壇/不動産オーナー後継者の会/JFMA「不動産MBA」研究員/週刊ビル経営「建替え経営学」連載/全国賃貸住宅新聞/住宅新報/月刊不動産流通(宅建協会)ほか。

立ち退きとは、建物のオーナーが、入居者やテナントに対して何らかの事情があるために、建物の明け渡し請求をすることです。

立退き交渉から明け渡し請求を行う過程において、明け渡し請求の選択肢の一つとして「立ち退き料の提示」があります。

日本では、立ち退き料には決まった相場はないと言われています。実際に明け渡し請求を行っていく上では、弁護士への相談費用や、トラブルとなることの方が心配だと思う方が多いのが現状でしょう。

立ち退きまでの流れとは?

立ち退きまでの流れとして、

①転居の打診(準備~打診まで6カ月から1年)

②代替物件の提案(打診~提案まで1年から2年)

③明け渡し請求(上記に応じない場合は期日を区切って通知)

④訴訟(1年~2年)

⑤判決

という順番をあらかじめ抑えておくとよいでしょう。

いくつか事例をご紹介します。

立ち退き実務10のノウハウと事例紹介

明け渡し請求の正当事由とは?

建物のオーナーが、入居者に対して何らかの事情があるために、建物の明け渡し請求をする上では、「正当事由」(せいとうじゆう)が必要です。つまり、入居者に対してなぜ明け渡し請求を行うのかの理由を提示しなければなりません。

明け渡し請求には、賃貸人(オーナー)に正当事由がなければなりません。

弁護士からの回答としては以下の3点がそれに当たるでしょう。

明け渡し請求を行うために必要な3つの理由

①賃貸人及び賃借人が建物使用を必要とする事情
②建物賃貸借に関する従前の経過
③建物の利用状況 

正当事由については以下が具体的に挙げられます。

①賃貸人及び賃借人が建物使用を必要とする事情

・居住の必要性

・営業の必要性(建替えをして収益性の高い不動産にしたい)

・建物売却の必要性

②建物賃貸借に関する従前の経過

・入居者に相場よりも相当安く貸している

・入居者に滞納履歴や行動履歴に問題がある

・暴力団等の介入行為等

③建物の利用状況

・貸室の使用状況(実際には住んでいない等)

・建物が古くて倒壊の危険がある

→立退きに関する詳しい解説と判例はREIBS専用会員のみ閲覧可能です。

→どのような理由があれば正当事由と認められるか?

→立ち退き料(たちのきりょう)とは?

立ち退き料は、明け渡し請求を行うために必要な3つの理由のうち、これらの事情を考慮した上で、この3つの理由では不十分な場合には、「立退き料」の支払いを申し出ることによって正当事由を補完(ほかん)できるとされています。

立ち退き料とは?

一般的な立ち退き料の相場は、

住居(代替物件がすぐ見つかる用途) 賃料の3カ月~6カ月程度
事務所(事業所、営業所など) 賃料の6カ月~1年分程度
店舗(小売・物販店、学習施設など) 賃料の1年分~2年分程度

なお、病院、ホテル、飲食店などの設備に多額の投資をしている用途に限っては、営業補償費用や造作買取請求や高額になることがあります。

立ち退き料の費用算出について

立ち退き料の費用の算出について、情報が得られないという方が多いのではないでしょうか。まずは一般的な立ち退き料の算出概念についてです。

  1. 借家権の価格(土地家屋調査士等が対応)
  2. 移転費用(建築士等が対応)
  3. 営業補償費用(不動産会社等が対応)
  4. 慰謝料(弁護士等が対応)
  5. 造作買取価格(建築士等が対応)

これらの費用の算出において「専門家」による職能を勘案すると、「立ち退きの専門家」は本当に少ないことがお分かりになるかと思います。つまり、立ち退き料の算出には幅広い知識と、高度な経験則が問われるため、弁護士の業務と言い切れない所以があります。

不動産会社が考える立ち退き料の相場として、住居は賃料の3カ月分、事務所は賃料の6カ月分、店舗は長期に渡る入居者の場合で最大賃料の2~3年分と言われます。

→立退きに関する詳しい解説と判例はREIBS専用会員のみ閲覧可能です。

立ち退き計画は誰が行うのか?

立ち退きの計画から実行まで、実際に誰が立退きを行うのかを解説します。

入居者への立ち退き交渉の窓口としては以下の人物や会社が考えられます。

1.不動産所有者が直接行う(弁護士等を窓口にする)

2.管理会社が行う

3.建設会社が行う

4.再開発組合(不動産所有者)を立ち上げる

立ち退き計画から実行までに考えるべきことは、どの入居者が交渉で難航しそうか?を予め想定することから始まります。入居者の事情を考慮して、慎重に立ち退き交渉をする上では、オーナー自身が矢面に立つことはお勧めできません。なぜならば、その立ち退き交渉の過程で、オーナーが入居者に対して思わぬ失言をすれば、その先の立ち退き交渉が長引く恐れがあるからです。

そこで、立ち退き交渉の窓口として、

1は、オーナーの顧問弁護士などが交渉窓口となってすべての手続きを行う。

2は、建物管理を行う一環で入居者に対して交渉窓口となる。

3は、大手開発会社やハウスメーカーが建て替えの一環で窓口となり、交渉する。

4は、複数の共同所有者が入居者に対して交渉を行う際は再開発組合などの団体をつくり、交渉する。

立退き計画を実行する上での注意点

立ち退き計画を実行する上では、事前に入居者の情報収集を行い、適切に交渉・対応しましょう。たとえば、明け渡しに反対をする「居座り行為」や「相手方弁護士等」に注意しましょう。

一定の入居者が立ち退きに対して「居座り行為」をすれば、明け渡し交渉が長引いてしまう恐れがあります。その場合には、オーナー側も居座り側も弁護士を立てたうえで裁判が長期化するため、両者に弁護士費用や裁判費用などの「金銭的な負担」が強いられます。

その結果、両者のどちらかが勝つ確率は20~30%と言われており、残りの70%は、勝ち負けなく「示談解決」となります。つまり、訴えた時点で両者には金銭的損失は覚悟しなければならないといえるでしょう。

まとめ

最後に、何千件と立ち退きに立ち会ってきた専門家曰く、「立ち退き交渉の窓口となる担当者の経験がすべて」です。

法律的な解釈を加味したうえで、現場担当者の交渉力や経験値があるかどうかで立ち退きの成功率は大きく異なります。

昔は「ゴネ得」と言われたそうですが、近年は老朽化した危険な建物や、大きな再開発の際に、たとえ入居者に正当な理由があったとしても、「最後の一軒」が存在することによって日本の経済的損失が著しい場合には、「裁判所より退去命令が出た」という判例があります。

筆者は、このようなオーナー側として立ち退き交渉に関わった実体験者の一人です。実際に「最後の一軒」という状況において入居者同士でも相当の心理的な負担があったようです。そして最後の一軒は、立ち退き料をほとんど受け取ることができませんでした。ラスト3件くらいになったら手じまいするのが吉です。

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ライター紹介 ライター一覧

横山 篤司

横山 篤司

名古屋生まれ。ニックネームは「ANDY」、フォーダム大学大学院国際ビジネス学科卒(NY)
一般社団法人不動産オーナー経営学院 代表理事
https://note.com/andyyokoyama/n/n1921a78b99cd
プロフィールはこちらのサイトをご覧ください。不動産のことを分かりやすく伝えていくのが仕事です。2014年に日本の不動産オーナーのための学校を設立し、これまでに全国の地主と10,000人以上会う。日本で唯一にしてNo.1の不動産ビジネススクール「REIBS」では、成果実例やノウハウを限定公開しています。いろいろとチェックしてみてくださいね!

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