第十七回 これが不動産三代目の末路

<建替えフェーズ③ 建替え時に気を付けたい3つのポイント> |
2017年春に名古屋駅前で新ビル竣工。2015年6月に本社ビル解体着手するまでに5年、建替プロジェクト完遂までに足掛け約8年の歳月をかけた上で再建し、父と共に「戦略的不動産経営5カ年計画」を実行した経験則をお伝えします。現在は全国の中小不動産オーナーの建替えプロジェクト顧問に就き、不動産学校内でプロチームを組成。新築ビルの竣工前満室、本社ビルの財務健全化、トラブルの自力解決など数多くの事例を積み上げる。
○私の経営体験談
私は父が大切にしていたゴルフ会員権をすべて売りました。家族の楽しい思い出が残った別荘、お付き合いで購入した株券、そのほか土地や山林も売りました。社員は残り1名となり、事務所には大量の机や椅子と書類だけが残りました。2012年の頃です。これが三代目の末路であり、過去の栄光は「むさし家の看板」だけです。
なぜ私がここまでしたかというと、「収益の生まれない土地や山林などがたくさんあった」からです。私の祖父の代から父の代にかけて、資産の4分の3を失った原因は、これらの資産を残したままであったため、相続時に税金の課税対象となり、国税の査察も受けて結局取られてしまいました。同じ失敗を繰り返さないために無駄なものを徹底排除しました。
〇ポイント=賃貸業を脱却して不動産業から考えること
「武士の家計簿」という映画を皆さんはご存知ですか?とある武士の一家が借金苦となるも贅沢品は残したい、お付き合いは派手に振舞いたいといった父に対して、息子がすべて捨ててしまったという物語です。私も父とは何度も喧嘩をしましたが、父は私の誇りです。
ここで本題です。収益が生まれない土地や山林をどうすればよいのか?その選択肢は「土地活用」です。土地活用=アパート経営ではありません。土地活用は、土地を使ってあらゆる有効利用の可能性を考えることです。例えばビルやアパートなどの賃貸業を行っていると、賃貸収益が減ってきたときには「維持すること」に固執してしまいます。相続を迎える時に、土地や建物からの収益があろうなかろうが、相続税等の税金がかかります。
よって、相続税の原資を支払える位の収益力が高い土地活用を行わなければなりません。不動産の維持や継続だけではなく、不動産業から考えて収益を上げていきましょう。