第十六回 建替えに失敗して6畳2間の生活へ

<建替えフェーズ③ 建替え時に気を付けたい3つのポイント> |
2017年春に名古屋駅前で新ビル竣工。2015年6月に本社ビル解体着手するまでに5年、建替プロジェクト完遂までに足掛け約8年の歳月をかけた上で再建し、父と共に「戦略的不動産経営5カ年計画」を実行した経験則をお伝えします。現在は全国の中小不動産オーナーの建替えプロジェクト顧問に就き、不動産学校内でプロチームを組成。新築ビルの竣工前満室、本社ビルの財務健全化、トラブルの自力解決など数多くの事例を積み上げる。
○私の経営体験談
私の祖父は旅館業で財をなし、名古屋駅で旅館をいくつも営んでいました。しかし旅館をビル(旧・菱信ビル)へ建替えたことにより多くの借財を抱え、私が小学生の時は6畳2間のアパート暮らしを余儀なくされました。原因は借金をして大きなビルを建てたことです。また建築会社の建設協力金返還等によって実入りが全くなくなったことも挙げられます。
新築ビルにしたことで財務上は健全になりましたが、私たちの生活はどん底にまで落ちたのです。親類や縁者には、「業者」によって身ぐるみを剥がされた、「税理士」に税金を払わされたという心にもない声が上がり、祖父は大変苦労したと聞いています。
私は「建替えすれば成功する」のではないと思い、建替えに必要な心構えやスキームを研究しています。今回はみなさんが建替えを考えていく上で大切な対策をご紹介します。
〇ポイント=これが末路という3つのポイント。
先ほど、建替えをすれば成功するわけではないとお伝えしました。なぜならば、資産を増やせば資産課税(相続税、贈与税、固定資産税)が高くなりますし、収入を多く取れば所得課税(所得税、法人税)が高くなるからです。さらに不動産の経営を続けていく上では空室や管理といった管理面もリスクが高くなるからです。
まずは建替え時に気を付けたい3つのポイントをご覧ください。みなさんが所有している土地や建物はひとつひとつ違います。私が何百人という不動産オーナーと話して分かったことは、「これが正解」という回答を今すぐ伝えることはできないが、今の状態を続けていけば「これが末路」という予測はできることです。次回はこの3つを解説します。