土地活用の始め方|不動産投資のプロがわかりやすく解説
2022.04.23
土地活用を始めるうえで大切なことは、
その土地や建物を、「誰に」、「どのような用途で」、「何年貸すのか」を決めることです。
決して業者さん探しから始めるべきではありません。
実際に私もオーナーとしてこれまでに土地活用をいくつか経験しました。
そこで、みなさんからよく最初に「土地活用に興味があるのだけど、どんなことから調べればよいのですか?」と質問されます。
ここでは、「これから土地活用を考えている人」や、「土地活用をはじめたい人」に、土地活用をはじめるうえでの知識、順序、運用方法法など、ここだけは知っておいて欲しいことをまとめました。
目次
1. 土地活用の3つの考え方
土地活用とは、「未利用地あるいは遊休地を収益が生まれるよう検討をすること」です。
具体的には、空き家や更地などの未利用地や、駐車場や倉庫などの収益性が低い利用地が、「土地活用の対象」となります。
しかし、「誰に相談すればよいのか?」は分からないのが現実です。
もっと良い土地活用はできないかと思っても、業者さんの手数料が高かったりします。
また、初期費用もかかったりします。
比較検討していたら数年経ってしまったという人も多いのです。
そこで、まずは私も皆さんと一緒に考えてみました。
1.1 土地活用の条件とは?
土地活用といえば、アパートやマンションをまず思い浮かべることが多いのではないでしょうか。
そこで土地活用で考えるうえでは、
- 建築費が安い
- 長く続けられる
- 収入がよい
- 業者さんが信頼できる
- 入居者さんがよい
といった条件が挙げられますね。
この条件という「視点」はまず抑えておくべきだとは思います。
しかし、すべての条件に当てはまる土地活用の土地であればどうでしょうか?
その土地はすでに「大人気の土地」ですよ。
でも裏を返せば、その土地でアパートやマンション経営をしたら「もったいない」かもしれません。
もっと収入が見込めるかもしれないからです。
そこで私が次に1つ挙げるとしたら「投資対効果」です。
1.2 土地活用の投資対効果とは?
土地活用の投資対効果とは、お金を投資した時に得られる見返り(リターン)です。
投資対効果のリターンを考えるうえでは、
- 家賃収入
- 継続性
- 安定性
- 管理のしやすさ
などが挙げられます。
やっぱり収入が多くて、いかに安定しているかが重要でしょう。
でも建築費用が高いとやっぱり気がひけたりすることもあります。
また税金もかかるので難しいのは嫌だ。
そこで土地活用をするうえではメリットも考えておくべきでしょう。
1.3 土地活用のメリットとは?
土地活用のメリットとは、あなたがもっている不動産の土地活用をすることで得られるメリットです。
- 副収入(不労所得など)
- 保険や年金運用対策(簡単)
- 税金対策(所得税などが減らせる)
- 相続対策(子供や孫に)
などが挙げられます。
よく、相続対策のためにアパートやマンション経営やるのだから、この大手不動産会社が安心!と話す方がおります。
収入は二の次というわけですね。
でもどうなんでしょうか。
正直、収入が得られなくても相続税対策になる?というのはお勧めできません。
なぜならば、資産を減らして結果的に相続税が安くなったというだけだからです。
土地活用を行うことで得られる5つのメリットと基礎知識まとめ
このように、できれば希望の「条件」や「投資対効果」や「メリット」があればいいのですが、そのすべてが叶うかどうかはやっぱりどんな土地であるか?ですよね。
一番さいしょに知ることは、その土地で何ができるのか?ではないでしょうか?
その土地活用の利用方法を一通り学び、知識を深めて、何をするかを決めたら業者さんに相談するのでも遅くはありません。そこで土地活用をはじめるうえで、プロから見る土地活用の見方を紹介しましょう。
2. プロの土地活用の調べ方と視点
不動産の土地活用をする人に、本音を聞くとこんな話を言われます。
土地活用はアパートやマンションだけじゃありません。
一括借り上げでサブリースしても30年間同じ家賃なわけありませんよ。
もっとオーナーさんに勉強してほしいです。
でも、2~3年の素人の営業マンが精度が低い投資シミュレーションの計画書を配ってしまうので、素人のオーナーさんが、その計画書を信じて投資してしまうのです。
※この見積でいえば、収入は初年度だけの利回りしか書いていません。
2.1 土地と建物の運用が最適か?
プロから言えば、不動産投資は土地と建物の運用から始まる仕事ということです。
そこで、その土地や建物を、「誰に」、「どのような用途」で、「何年」貸すのかを決めることが「土地活用」です。
その条件が最適であれば利益は当然出ます。
ですから土地活用はおいても、利回りの高い、お買い得品を買うのではなく、そもそもどんな不動産を買うのか?を決めることが大切なのです。
2.2 土地活用は継続できるか?
プロから言えば、土地活用は始めることがゴールではなく、継続できて初めて成功ということです。
そこで、土地活用の契約年数にも注目してほしいのです。
利用期間が10年か、20年か、30年か?を考えるのが「土地活用」です。
土地や建物を長く利用してくれる入居者(テナント)を最初に考える。
できればオーナーも一緒にここを考えて欲しいと言います。
そこでプロの土地と建物の視点でいっしょに土地を見てみましょう。
3. 土地を調べる
まず土地です。
結論からいいますと、土地を持てば明日から収入が生まれることはありません。
土地が広いから価値があるわけではないのです。
現状は草が生えっぱなしであったり、古い建物が建っていたり、山や崖になっていたりなど状況が様々です。
ですから、土地を整地することからはじめましょう。
言い換えると、土地を使いやすい形にしましょう。
とはいえ、土地を整地するためには「お金」がかかります。
たとえば、空き地(遊休地)が変形地であったり、狭小地であると、価値が下がります。
また、すでに建物が建っていたり、駐車場として利用されている土地であれば、建物を壊したり、運用を一度止めなければならないので時間がかかります。
そこで、土地を調査する上でこのような順番で調べていくとよいでしょう。
3.1 広さ
1m×1m=1㎡(へいべい)といいます。
まずは土地の広さを正確に調べましょう。
調べる上で参考となる資料は、次の通りです。
- 土地登記簿謄本
- 固定資産税評価証明書
3.2 形状(形、高低差)
土地は、ひとつひとつ形状が異なります。
高低差があったり、変形地であったりもします。
謄本を調べたうえでは、「土地の面積が広くていいな!」と思っても、実際に見に行くと、崖地のために建物が建たないこともあるのです。
ですから土地の形状を見ておくことが大切なのです。
たとえば、収入がよくても、狭小地や間口の狭いと、後々は売れなくなることもあるので注意しましょう。
調べる上で参考となる資料は、次の通りです。
- 公図
- 確定測量図
- 地積測量図や古地図(法務局)
3.3 向き(日当たり)
土地は、周辺環境によって日当たりが異なります。
目の前に大きな建物が建っていると、住居に最適な南向きの部屋を作ろうと思っていても、実際には日が当たらない部屋になってしまうことがあります。
ですから住居の場合は日当たりや向きを確認しましょう。
日当たりが悪い場合は商業用や工業用へと、用途対象を変えた方がよいでしょう。
調べる上で参考となる資料は、次の通りです。
- Google MAP
- 現地調査
3.4 間口(道路の幅、接道状況、見え方)
間口(まぐち)とは、道路に接している長さを指します。
土地は、実は、間口によって土地の価値が変わります。
たとえば商業地の場合には、遠くからでも見やすい、見通しのよい土地であれば価値が高くなります。実際に、郊外のロードサイドでよく見られるようなドラッグストアやドライブスルーを想像するとわかりやすいですね。
調べる上で参考となる資料は、次の通りです。
- 確定測量図
- 地積測量図(法務局)
- 現地調査
⇒土地の形状別の攻略方法についてはこちらの記事もご覧ください。
https://reibs.jp/mba/casestudy/investment/realestate30strategy/
4. 建物を調べる
次に建物です。
建物はアパートやマンションだけでなく、駐車場、店舗、事務所と、さまざまな用途の建物があります。
結論からいいますと、建物を持つと管理費用や維持修繕費用がかかります。
そして、規模に応じて固定資産税や相続税がかかります。
※アパートやマンションを建てれば単純に相続税が安くなることはありません。なぜならば土地に加えて建物も相続資産の対象となるために、合算すると税金が上がるからです。ただし、自宅などの用途にすることで相続税評価に対して一定の控除や特例があります。 |
ですから、土地と同様に、建物も「どんな用途にするか」を考えていきましょう。
4.1 建物の用途
たとえば、アパートやマンションであれば住居用(人が対象)です。
また、ビルや店舗であれば商業用(事業が対象)です。
駐車場や倉庫であれば、工業用(機械や工作物等が対象)です。
このように、建物を誰に対して、どのような用途で、いくらの賃料で、どのくらいの期間を貸すかによって土地活用による収益率が異なります。
また管理の難易度が変わりますのでBやCを検討するときはさらに勉強が必要となります。
4.2 建物の規模
規模とは、建物の大きさのことです。
建物の規模を表す指標として、延べ床面積があります。
延べ床面積とは、建物の各階の床面積を合わせた規模を表します。
規模が大きければ、その際に管理や修繕にかかる費用が増えます。
また、規模に応じて税金がかかります。
調べる上で参考となる資料は、以下の通りです。
- 建物登記簿謄本
- 固定資産税評価証明書
- 建物竣工図
4.3 建物の構造
構造とは、どんな構造で建物が建っているかということです。
たとえば、このような建物の構造があげられます。
- 木造
- 鉄骨造
- コンクリート造
- 鉄骨鉄筋コンクリート造
- 重量鉄骨造
これらの構造は下にいけばいくほど建てる際にお金がかかります。
調べる上で参考となる資料は、以下の通りです。
- 竣工図
- 現地調査
4.4 設備
設備とは、建物を使ううえで必要となる設備や構造物のことです。
- 電気、ガス、水道
- 給排水、空調
- 防災、エレベーター、その他
調べる上で参考となる資料は、以下の通りです。
- 竣工図(設備図面)
- 現地調査
5. 土地活用で儲けるためには
ここで私の紹介をさせていただきます。
私はマンションやビルの経営をしてきた1人です。
また銀行員時代はプロとして全国で100物件以上の土地や建物を運用管理をしてきました。
このような成功や失敗を自分で体感したからこそ分かる「不動産経営の本音」があります。
それは、土地活用を行い、不動産運用をすることです。
しかしながら、簡単ではありません。
不動産があれば「毎年必ず」、「永久に続く」、「決まった賃料が入る」・・なんて投資はありません。
たとえば、土地や建物をどのように運用していくのかを考えるなかで、実際には建物を新たに建てたり、入居者を募集したり、テナントを誘致したり、難しいことがたくさんあります。
だからこそもう一度お伝えしたいことは、
不動産は投資でもなければ、資産でもなく、「土地」と「建物」の運用から始まるということです。
そして、その土地や建物を、誰に、どのような用途で貸すのかを考えることが「土地活用」です。
その出口が見えたとき、不動産事業として継続していくだけの収益を確保することができます。