アパートやマンションの入居率を上げるための方法、週報の使い方を徹底解説!
2022.03.28
アパートやマンションなどを賃貸経営するなかで、
入居者が見つからない、
入居率が下がっている、
内覧の問い合わせが増えない、
と悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
賃貸経営では、この「入居率」という数字が気になる人も多いのですが、そもそも空室の原因や要因として考えられるのが物件の競争力の低下です。
結果、物件の競争力が下がると、入居者の目に留まらなかったり、他の物件に入居者が流れてしまいます。
そこで、多くの賃貸オーナーが悩んでいるのが、入居者を呼び込むために何をすればよいのか?です。
たとえば、入居者を募集する際に、リフォームをすることも手段の一つです。
とはいえ、そもそも現在の入居者からの問い合わせ件数、内覧者の件数、成約に至らない理由などを調べたことはありますでしょうか?実は、内覧者数を数えた事すらないという方もいらっしゃるでしょう。
たとえば、この表は、毎週の入居者募集において、物件の空室状況をお客様(仲介店)が問い合わせた中で、お部屋の内覧(鍵確認)をし、申込まで頂いた件数を「見える化」したものです。
私も賃貸オーナーの1人です。これは実際の管理会社の週報です。
そこで、今回は空室が長引かないために、週報の作り方、記録の付け方、データを上手く活用して満室経営に繋げる方法について解説をしていきます。
目次
1. 入居率の基本とは?
入居率とは、一般的にはアパートやマンションを経営するなかで、どれだけ入居者が入っているかを数字にしたものです。
たとえば、全体の部屋数50部屋のうち40部屋に入居者がいる場合は、
入居率=(入居部屋数÷総戸数)×100
EX)40部屋÷50部屋×100=入居率80%
と計算できます。
ただし、入居率が上がれば家賃収入も単純に上がるわけではありません。
最初に気を付けておくべきことは主に2点です。
1-1. 家賃の無収入期間を減らす
その理由の1つ目に、
入居者が退去してから次の入居者が入るまでに家賃の無収入期間があるからです。
たとえば入居者の退去後から募集するまでの、原状回復工事期間、入居者との条件交渉期間、入居者の契約後から入居までの入居前期間まで、無収入期間があります。
この際に管理会社の対応スピードが遅ければ、さらに賃料収入は減ります。
まずは家賃の無収入期間を減らすことです。
1-2. 募集家賃の下落を防ぐ
その理由の2つ目に、
家賃の下落があるからです。
つまり家賃を下げれば、すぐに次の入居者が決まりやすくなり入居率は上がるのです。
たとえば管理会社の提案として、「相場を見て家賃を下げましょう」といわれたら注意です。
入居率を上げるために必要以上に家賃を下げてしまうと、家賃収入が減るからです。
よって、募集家賃の下落を防ぐことも大切です。
1-3. 入居率×家賃=家賃収入と覚えよう
まずは、入居率×家賃=家賃収入と覚えておきましょう。
家賃が下がり、さらに収入が下がるという悪い状況を回避するために、まずは入居率の意味を理解して、適切に分析をしていく必要があります。
つまり、入居率を上げると同時に、家賃収入を上げることが本当の入居率改善といえます。
これらを踏まえたうえで、入居率を上げる方法について徹底的に解説をしていきます。
2. 入居率を上げる方法とは?
一般的に入居率を上げる方法は、次の4択となります。
・リフォーム等をして付加価値を高める
・家賃を下げたり、募集条件を緩める
・広告数を増やす
・営業(内見数)を増やす
2.1 リフォームをして価値を高めれば上がる
たとえば、リフォームをしてお部屋の魅力を上げて入居者の興味を惹くことで入居率は上がります。
入居者のターゲットに合うような設備、デザイン、機能となるように事前に調査を行うことが大切です。
2.2 募集条件を緩めれば上がる
たとえば、ペット可、ピアノ可、二人入居可など、募集条件を緩めることで入居率が上がります。
但し、入居者の質が悪くなる可能性もありますので注意が必要です。
2.3 広告数を増やせば上がる
たとえば、レインズ、アットホーム、ホームズといった物件掲載サイトに多く載せることで、物件の閲覧数が増え、入居率は上がります。
物件掲載サイトへの登録は、地元の仲介会社や管理会社などの業者さんがすでにアカウントを持っていることが多いので、業者さんに依頼して掲載して頂くとよいでしょう。
2.4 営業(内見数)を増やせば上がる
内覧会実施時のモデルルーム(509号室)
たとえば、お部屋の内覧会を開催して地元の仲介店にお部屋の魅力を伝えることで、物件の内見数が増えて入居率は上がります。
仲介会社への報酬や広告料を増やすこと(特に3社を厳選して贔屓するなど)で、戦略的にも優遇すると効果的です。
2.5 家賃を下げると上がる
たとえば、近隣の同等のアパートやマンションより家賃を1~2割下げることで、入居率は上がります。
この方法は最終手段と考えましょう。
3. 入居率の3つの計算方法とは?
家賃を下げれば入居率が改善されるのは当たり前ですが、経営の観点からすれば、下がった家賃のままで一定期間貸すことになりますよね。
さらに隣の住人に知られてしまうと値下げ交渉をされる恐れもあります。
そこで、家賃を下げる前に行うことができる空室対策としては以下が挙げられます。
- 入居者にキャンペーン特典を付ける
- 一定期間家賃を無料にする(フリーレント)
- 家具付きのお部屋をそのまま貸す
- リフォーム工事前にデザインを入居者に公開する
- 仲介店にADを渡して交渉しやすくする
といったように、実質入居期間を調整したり、成果報酬を導入することで、入居率を調整することができます。
そこでこの考え方を取り入れるうえで入居率の計算方法と見方について詳しく解説します。
入居率には主に3つの計算方法があります。
>>月末時点での入居率
>>稼働日数に対する入居率
>>年間総賃料に対する入居率
実際の入居率の計算方法には、主に月末時点での入居率、稼働日数に対する入居率、年間総賃料に対する入居率の3種類があり、それぞれを分析していく必要があります。
まずは入居率の意味や見方などを、初心者にもわかりやすくポイントをまとめて解説したいと思います。
3.1 月末時点での入居率
入居率=(入居部屋数÷総戸数)×100
この計算式は、入居率を計算するうえでもっともよく使われているものです。1月から12月までの入居率の平均値を出すこともあれば、一番よかった月の入居率だけを取り上げる場合もあります。繁忙期を見極めるうえでは重要な指標となります。
3.2 稼働日数に対する入居率
入居率=(入居者数×入居期間)÷(全体の室数×365日)×100
この計算式は、1年間の稼働率から考える指標です。部屋を原状回復している期間や、家賃が未収入となっている募集期間を空室とします。1年間の稼働日数から入居率を割り出す重要な数字の1つです。
3.3 年間総賃料に対する入居率
入居率=(実質収入÷年間総貸出収入)×100
この計算式は、目標とする収入に対して、どれだけ家賃が入っているかを把握します。高い収入目標を設定すれば、その分だけ入居率が下がります。
4. 入居率の上げる具体例(A vs B)
入居率を上げると同時に家賃収入を上げることが入居率改善といえます。
そこで、入居率を改善するうえでの実例とそのポイントを解説します。
総戸数50戸、築30年の賃貸マンションを例にします。
実際の私の物件です
現在の入居率は、50部屋中45部屋が入居中ですので90%となります。
しかし、退去予定が2部屋あるため、3月末時点の稼働率としては86%です。
4.1 509号室:月額家賃80,200円
現在募集している部屋の(A)509号室はこのようなお部屋となっています。
(A)募集家賃75,000円、共益費が52,00円ですので、月額家賃は80,200円です。
4.2 406号室:月額家賃70,200円(5000円値引き可)
(B)募集家賃65,000円、共益費が52,00円ですので、月額家賃は70,200円です。
また募集条件を緩めており定期借家契約(2年間の解約禁止条項あり)を選ぶと5,000円の家賃値引きも可能としました。
5. 空室物件の閲覧履歴を見る
このように同じマンション内で間取りも一緒ですが、(A)509号室(月額家賃80,200円)と(B)406号室(月額家賃70,200円、5,000円値引可能)では募集家賃や内装が異なります。
さて、皆様はどちらのお部屋の方が人気だと思いますでしょうか?3つのポイントを見ていきましょう。
- 1週間の閲覧数を見る
- 閲覧履歴を見る
- 成約事例を見る
5.1 1週間の閲覧数を見る
募集期間における1週間の閲覧数を見てみましょう。
閲覧数としては、1月から2月の繁忙期に比べ、3月にかけて少しペースダウンしていることが分かります。但し、このエリアのターゲットを見極めるには、この数字だけでは判断できません。
5.2 各部屋の閲覧履歴を見る
各部屋の閲覧履歴を日時、会社名、担当者別に見ていきます。406号室は22件、510号室は4件、606号室は2件、607号室は2件、509号室は1件でした。
ここでは具体的な仲介会社名を載せることはできませんが、近隣の仲介店舗からの問い合わせが多く、圧倒的に家賃の安い406号室に軍配が上がりました。
5.3 成約事例を見る
成約事例を見ていきましょう。
繁忙期は1月~3月、9月~10月となっています。
このように申込時期、契約開始日、仲介会社やその担当者を時系列にしていくことで、物件成約の特徴が見えてきます。
5年間の定期借家契約での契約は、家賃5,000円引きで契約に至った入居者なのですが、いつもお部屋を紹介して頂ける仲介会社さん(お得意様)の紹介です。
このように入居者の成約に導いて頂ける仲介会社さんを優遇することも大切です。
6. 入居者のターゲットを決め手入居率を上げる
これらのデータを分析して、実際に入居者がどのように行動し、入居を決めているのかを逆算して考えてみましょう。
6.1 「入居者属性(ユーザー)」から見る
<物件の入居者属性>
総戸数50部屋のうち
20部屋 社会人(単身者)
15部屋 学生
8部屋 パート
2部屋 60歳以上
となっています。
一般的な入居者属性としては、会社員、自営業、学生、パート、家族、DINKS、高齢者などを抑えておくとよいでしょう。
<家賃相場>
また、入居者の家賃相場は、
5万円~6万円台 割安な家賃を求めるのは主に学生、パート
6万円~8万円台 新築や礼金0円を求めるのは会社員、経営者
<戦略>
学生をターゲットとする場合は原状回復程度に止めてすぐに募集を出すこと、1月~3月の繁忙期に向けてフルリフォームした部屋で勝負をします。
6.2 入居者の「行動」から見る
この物件に入りたいという入居者の行動範囲を理解しておくとよいでしょう。
<お部屋探しの流れ>
地元仲介会社から申し込みをする入居者は、学生が多く、割安な家賃を求めている。
駅前仲介会社から申し込みをする入居者は、会社員が多く、家具付き等を求めている。
<物件のウリ>
売りは広めの1LDKです。
<繁忙期>
繁忙期は1月~3月、9月~10月である。
一般的に繁忙期は、1月~3月、9月~10月です。閑散期は6月~8月、11月~12月と覚えておくとよいでしょう。
まとめ:筆者の賃貸経営について
私自身も賃貸オーナーの1人として、様々な物件を所有し、経営をしてきました。
賃貸経営をする中で、正直、入居率平均98%以上という管理会社の宣伝文句に嫌気が差すこともありましたw
とはいえ、賃貸住宅が不足していた20世紀の「入居者を待つ時代」は過ぎ去り、21世紀は「入居者を上手く迎える時代」に突入したことは間違いありません。
現在、総務省が発表している全国の賃貸住宅の空室率は、17%~18%台で推移しているとのことなので、都心であれば10%、それ以外は20%が常に空室とみてよいのではないでしょうか。
間違っても、入居率が100%に近い数値で返済計画を立てたら、あとで苦しむのは賃貸オーナーです。。
現在、私は大手管理会社に任せている物件もあれば、自主管理に近い物件もあり、また地元企業と連携して社宅化したりもしています。
私が大切にしているのは、入居者に適した家賃設定や内装づくりを心掛けており、派手なリフォームや、過剰な投資はしないことです。そのためには、賃料アップや入居率改善について、週報を導入して社員と情報共有をしたり、入居者募集チェックリスト100を使って改装ポイントを絞っていることです。
もしご興味がありましたら、入居者募集チェックリスト100もぜひご覧ください。
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