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【第三回】不動産経営での決算対策まとめ(利益調整)

 2018/06/14 税金・節税
この記事は約 7 分で読めます。 1,806 Views

不動産オーナ-経営学院の学長ANDYです。

今回のテーマは「不動産経営での決算対策まとめ(利益調整)」です。

不動産事業を営む上で、決算前の税金対策はとても大切です。

 

<3回シリーズ>一棟不動産の税金対策まとめ

1.不動産投資の基本!銀行借入の注意点(銀行借換え対策)

2.不動産経営での3つの節税の仕組み徹底解説!(節税対策)

3.不動産経営での決算対策まとめ(利益調整)

 

不動産経営での決算対策まとめ①

利益調整とは

利益調整対策について考えていきましょう。

みなさまは当年度に不動産を売却して利益が出たり、運よく多額のお金が入って黒字が生まれた場合、どんなことを考えますでしょうか。

〇成功したのだから当然税金は払う

〇明日は明日でまた稼げばよい

〇黒字になったことを隠したい

など様々な想いが巡るのではないでしょうか。事業を営む上では、毎年の税務申告時に当年度の利益を確定させ、税金を支払うことが義務付けられております。また次年度以降に利益を分散させたり、利益が出た申告を遅らせることは通常できません。

では当年度の事業の利益が多くなった場合に、いかにして当年度の利益が多くなり過ぎないように抑えていくのか。あるいは逆に赤字が多くなった場合に、いかにして当年度の損失が多くなり過ぎないようにしていくのかを考えていきましょう。

確定申告書上でのポイント

資料1:税務申告時とキャッシュフローの比較

※この図では、堅実に不動産経営を行った結果、「税務申告上の利益」が28であるのに対して、「手残り現金」が3しか残らない状況となっています。これが節税対策を行っていない状態です。

⇒一般的に、不動産事業は毎年一定額の利益が見込みやすいため、ここで計画的な節税対策を行わなければ、毎年多額の税金を支払わなければなりません。

資料1より、税務申告時では個人事業主の場合は「所得税」、法人の場合は「法人税」について着目します。

不動産経営での決算対策まとめ②

3つの利益調整対策

利益調整対策は、主に3つのポイントを基本として考えていきましょう。

  • 損益通算(そんえきつうさん)

→損失(赤字)と利益(黒字)を合算すること

  • 繰越控除(くりこしこうじょ)

→損失の金額を翌年以後の所得金額から控除する(差し引く)こと

  • 特別利益(とくべつりえき)、特別損失(とくべつそんしつ)

→その期だけ特別な要因によって発生した利益や損失のこと

「損益通算」の提案

まずは損益通算の仕組みを解説します。

損益通算とは、一定期間内の損失(赤字)と利益(黒字)を合算し、最終的に利益が出たか、損失が出たかを算出することです。

例えば個人事業主の場合は、企業勤めをして給与所得を得ており、副業で親から受け継いだマンション経営をしている人も多くおります。その際、マンション経営で赤字を出した際、この赤字分を給与所得から控除する場合などが損益通算に相当します。かつ、その事業を営むことで発生する必要経費として、借入金利や固定資産税、火災保険料、減価償却費なども不動産所得に組み入れることができます。

日本では、給与所得に対して累進課税(るいしんかぜい)という所得の多さによって段階的に所得税率を引き上げる税制があります。

よって、サラリーマンが副業で賃貸事業を行い、この損益通算によって給与所得の課税対象額から控除を受け、不動産所得の赤字分に対応する税金が戻ってくる(還付)ことも、不動産事業を行う上でのメリットの一つといえるでしょう。【資料4】 ただし、個人事業主の場合は損失が発生した場合、ほかの黒字の所得から差し引けるのは下記4つに限定されています。

・不動産所得

・事業所得

・山林所得

・譲渡所得

個人事業主の場合は、損益通算の期間は1月から12月までの1年間となります。

資料4:損益通算について

また、この損益通算を活用して様々な事業と組み合わせることで利益を調整することもできます。例えば、事業、不動産、給与、譲渡、その他の売上があった場合に、損益通算の組み合わせ事例として、4-2+3-1+2=6という計算方法で、当年度の所得で黒字と赤字を合算させて調整することもできます。【資料5】これを応用すれば、当年度に不動産を売却して利益を出そうと思っていたものを、次年度以降に持ち越そうと計画することもできます。

資料5:損益通算の組み合わせ事例

過去の赤字を「繰越控除」する提案

次に、この利益調整を複数年度に渡って考えていく繰越控除について解説します。

この繰越控除とは、その年に生じた損失の金額を翌年以後の所得金額から控除する(差し引く)ことをいいます。

まず、所得税や法人税は、毎年必ず当年度ごとに支払わなければならず、過去に支払った税金は取り戻すことができません。また、当年度の黒字を、次年度の赤字に補填することもできません。

例えば不動産事業においては新築の時にどれだけ黒字が多く税金を払ったとしても、築古となり赤字が膨らんだ時に、その損失を過去の黒字で埋めることができないということです。しかし、過去赤字が続いている状況で当年度に黒字となった場合は、黒字から赤字分を差し引くことができます。これを繰越控除といいます。

この赤字の繰越控除は個人事業主であれば過去3年間、法人であれば過去9年間の赤字を繰越していくことができます。

例えば、過去数年間で赤字を増やして物件のリフォーム工事を行い、将来の賃料増収を見込んだ黒字分を、過去の赤字分で相殺することも戦略の一つです。

資料6:繰越損益通算の組み合わせ事例

また、この繰越を活用して中長期計画を立てることで利益を調整することも可能です。例えば、2012年から2014年までに繰越損失を―5まで溜まった状況で、2015年は3、2016年は2と黒字となった場合は、その年度の所得税や法人税は過去の繰越損失を適用することによって課税対象所得を低く抑えることができます。【資料6】

「特別利益」や「特別損失」を活用する提案

そして、この特別利益や特別損失を活用する解説をします。

これは、その期だけ特別な要因によって発生した利益や損失のことです。つまり、特別利益や特別損失はあくまで当期だけのものあり、翌期以降はまず発生しないというものです。

<特別利益>

  • 不動産などの固定資産売却益
  • 長期間保有している株式や証券売却による売却益
  • 引当金による戻入益
  • 債務免除による債務免除益

 

<特別損失>

  • 不動産などの固定資産売却損や固定資産除去損
  • 長期間保有している株式や証券売却による売却損
  • 回収不能となった賃料の貸倒損失
  • 火災や自然災害、盗難などによる損失
  • 契約違反や違約金などの一度限りの損失

 

例えば、建替えに伴う立退料、解体費用、建物の滅失資産として固定資産を除却損に組み入れることも考えられます。

その場合には建替え期間中は中長期的に渡り損失が膨らんでいくため、まだ不動産経営が順調なうちに毎年の不動産から生まれる黒字分を定期保険などに組み入れて簿外債権(半損タイプ/全損タイプ)とし、立退き等の大きな特別損失が生まれる時期に、その債権を解約して簿内の利益に組み入れることも戦略として有効です。

まとめ

実際に不動産を複数所有していく上では、「決算対策」はさらに複雑になります。

不動産経営もひとつの事業であり、何も税金対策をせずに所有する事だけを考えていますと、目の前の黒字(利益)に喜んでいても、将来の赤字(大きな損失)には対応ができなくなってしまいます。

少しでも多くの方が、勝ち残る不動産オーナーとなる!ために、不動産オーナー経営学院では実践的なワークショップや事例検証を通じて一歩一歩理解を深めていくカリキュラムが充実しております。

不動産オーナー経営学院「資産運用学科」のテキストより

詳しくはwww.reibs.jpをご覧ください。

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ライター紹介 ライター一覧

横山 篤司

横山 篤司

名古屋生まれ。ニックネームは「ANDY」、フォーダム大学大学院国際ビジネス学科卒(NY)
一般社団法人不動産オーナー経営学院 代表理事
https://note.com/andyyokoyama/n/n1921a78b99cd
プロフィールはこちらのサイトをご覧ください。不動産のことを分かりやすく伝えていくのが仕事です。2014年に日本の不動産オーナーのための学校を設立し、これまでに全国の地主と10,000人以上会う。日本で唯一にしてNo.1の不動産ビジネススクール「REIBS」では、成果実例やノウハウを限定公開しています。いろいろとチェックしてみてくださいね!

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