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かぼちゃのランプが夜に光っている

「かぼちゃの馬車問題」とは何か?シェアハウスの不動産投資とは?

2023.04.9

ライター:横山 篤司

WBS(ワールドビジネスサテライト)などでも特集が組まれるほど世の中を賑わせたのが「かぼちゃの馬車問題」である。

 

「女性専用シェアハウス」を建て、

入居者が支払う家賃を利益とする不動産投資の1つである。

 

かぼちゃの馬車問題で明るみとなりましたが、

シェアハウス投資は以前より数々の問題が起こっておりました。

 

「かぼちゃの馬車」の不動産投資の特徴は、

・30年間の賃料保証(サブリース契約)
・年利8%という高利回り
・スルガ銀行による貸付(低所得者向け貸付)

の主に3つです。

賃貸物件

 

そこで800軒を超えるといわれる女性専用シェアハウスを販売した株式会社スマートデイズが何故破綻に至ったのか。

ここでは、シェアハウスと不動産投資について解説をしていきます。

※かぼちゃの馬車問題の発覚後に多くのシェアハウスの再生を依頼された源先生が徹底解説&対談形式で紹介しています。

かぼちゃの馬車問題!教えて、源先生!こんな不動産投資はやめておけ!①サブリース編

 

1. かぼちゃの馬車とは?

「かぼちゃの馬車」とは、女性専用シェアハウスのブランド名です。

 

家賃は東京都内で月に4万円~6万円程度で入居でき、

「敷金・礼金・仲介手数料なし」が売りでした。

 

さらに、個室にはベッド、冷蔵庫などの設備が用意されているだけでなく、

インターネットの通信料や光熱費も家賃に含まれていました。

 

主に地方から上京する女性をターゲットとし、

「トランクひとつで即入居」の売り文句が魅力で、

当初100室程度までは「入居待ちとなるほどの人気」でした。

 

ただし、ほとんどのお部屋は5畳程度で、

かつ共用部も狭かったため、周辺の賃貸ワンルームマンションよりも割高でした。

かぼちゃの馬車のロゴ

 

2. かぼちゃの馬車問題とその経緯とは?

かぼちゃの馬車問題とは、2018年当時、かぼちゃの馬車シリーズを販売していた株式会社スマートデイズの「サブリース事業」が破綻し、物件オーナーへのサブリース賃料(定額の家賃支払い)が未払いとなったことが発端となりました。

 

ほとんどのオーナー(投資家)が銀行からの借入をして物件購入をしていたので、

結果として大きな負債の返済をすることが不可能となりました。

 

当時、スルガ銀行がその投資物件への貸付を行っていたことから、

銀行に対して返済の猶予及び解除を求めて裁判となったのです。

 

2-1. サブリース賃料が1円も支払われない!?

2018年1月、オーナー(投資家)に対して一方的な告知と共に、

サブリース賃料が1円も支払われなくなりました。

 

シェアハウスのオーナーは、家賃が明日から1円も入らないという現実。

 

とはいえ、銀行への返済は30年間に渡り続いていくため、

毎月、無収入なのに何十万というお金の返済が必要となりました。

 

このサブリースとはいったい何なのでしょうか?

 

2-2. 利回り8%を30年間保証するサブリース

利回り8%を30年間保証する

というのがサブリースの契約内容でした。

賃貸借契約の図

このサブリースとは、物件の家賃をオーナー(投資家であり所有者)に支払うことを約束する契約です。

 

まず、左側をご覧ください。

 

銀行からオーナーはローン契約を結んでお金を借りて物件を購入します。

 

次にサブリース業者がオーナーに投資額の8%を毎年必ず支払うマスターリース契約を結びます。マスターリースをすることによって、オーナーは入居者の募集や契約を直接せず、毎月家賃が入ってくるため、ここで空室保証されるとも理解できます。

 

そしてサブリース業者は転借人との間でサブリース契約を結び、転借人が借り上げた部屋を入居者に貸していきます。つまり転借人が家賃をサブリーズ業者に振り込むため、実際の入居者が家賃をいくら支払っているのかはわからず、あくまで転借人が満額の家賃をサブリース業者に支払うかたちとなります。

 

とても複雑ですので、よって、ここで問題が起こります。

 

入居者の家賃と転借人との間で架空(実際には家賃が低い)の賃貸借契約が結ばれたり、東京に上京した若い女性に仕事を斡旋しながら高額な家賃を払わせるということが発覚しました。当然、オーナーは直接、その物件の入居契約を結んだサブリース業者に対して部屋を見せろと言いたいですが、サブリース先の入居者のことは守秘義務があるために調べることが出来ず、ブラックボックス状態化したのです。

 

結果として、収支計画も架空に近いほど高利益を謡っていたため、

別の運営会社に変更することもできなかったといいます。

シェアハウス運営を徹底解説|シェアハウス投資はやめとけ!?不動産投資失敗に学ぶ運営10のポイント

 

2-3. サブリースの落とし穴

内容を見ていくと以下の問題がありました。

・収支計画(家賃設定)が高すぎた
・30年間も一定家賃を保証する会社がいなかった
・建築費が高すぎた

 

しかし、これらの問題が大きくなっていっても、投資で成功したいと思うエリートサラリーマンや、資産運用をして不労所得を得たいと思う投資家の心理を突いて、ますます投資額は膨らんでいったのです。

 

そして2018年4月、オーナー向け説明会で運営会社であるスマートデイズの社長より業績悪化を理由として民事再生法の申請をした説明会を開いたのです。その1週間後、民事再生法の申請が棄却され、保全管理命令を受けることになります。

※すでに破産手続きまで仕組まれていた可能性が高い。

 

このスマートデイズとはいったいどんな会社だったのでしょうか?

オーナー向け説明会_かぼちゃの馬車

 

2-4. かぼちゃの馬車を運営するスマートデイズとは?

株式会社スマートデイズとは?

株式会社スマートデイズ(SMART DAYS, INC)は、かつて東京都中央区銀座に本社を置いていた不動産会社である。女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」や男性向けシェアハウス「ステップクラウド」のサブリース(不動産転貸)事業などを展開していた。

2018年4月9日、東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請し、監督命令を受けた。負債総額60億3523万円。

2018年4月18日、民事再生法の申請が棄却され、保全管理命令を受けた

2018年5月15日、破産手続開始決定を受けた。

そして、

2018年6月20日、関連会社の株式会社ステップライフも東京地方裁判所から破産手続開始決定を受けた。

<参照>Wikipediaより

 

2-5. シェアハウス運営の仕組みとは?

シェアハウス運営の仕組み

産経新聞より抜粋した資料を参照すると、このようにシェアハウス「かぼちゃの馬車」を購入した不動産投資家が、スマートデイズからの家賃が入らないことによって銀行返済ができなくなるまでのお金の流れが分かります。

 

このトラブルは「かぼちゃの馬車」に限らず、

一般的なアパートやマンションのサブリースに共通する「ある問題」が見えてきます。

 

それが3つのポイントでしょう。

・家賃設定=毎月いくらで貸すのか?
・家賃保証=何年間保証してくれるのか?
・建築費=いくらで建物を建てる(買う)のか?

この問題は不動産投資には「よくある話」ですので次に紹介します。

 

2-6. 不動産業者に騙された!?

実際に「かぼちゃの馬車」の物件の多くが売りに出ていますが、

1部屋5~6㎡という狭い部屋の集合住宅では、

実際に入居者を見つけることすら難しく、買い手がつかない状況です。

廊下

よくこんなひどい不動産を・・・と思うかもしれませんが。

 

しかし、皆さんが購入しようと思っている新築ワンルーム投資ってどうでしょうか?

新築ワンルームマンションの不動産投資でも建築前に購入することが通例です。

 

たとえば、

1部屋5万円×4部屋=20万円/月

毎月20万円の家賃が30年間、利回り6%、必ずお金が入り続けます。

 

この不動産投資に疑問を持つ方はいらっしゃいませんか?

 

なんら他の不動産投資と変わらない「利回り」や「契約条件」のため、

素人には不動産投資の仕組みが理解できないのが現実です。

 

実際にどんな部屋に需要があり、家賃相場はどのくらいで、建物の維持修繕や管理にどのくらいお金がかかるのかを学ぶことはとても難しいのです。

 

いわゆる「不動産を売る側も素人」であり、「不動産を買う側も素人」という構図です。

 

ですから、こういったサブリース会社に入社し、不動産を売り込む多く業者もまた、仕組みが分からないので騙そうとも思っておらず、気が付いたら加害者になっているという事例が後を絶ちません。

 

3. 不動産経営を学ぶとは!?

こういったかぼちゃの馬車問題のような投資問題は何十年に一度、明るみとなります。

 

「サブリースとは何か?」
「30年間の賃料保証は何故破られたのか?」
「業者に騙されないために何を学ぶべきなのか?」

 

私たちが同じ過ちを犯さないためにも失敗・リスクを学ぶことはとても大切です。

 

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ライター紹介

横山 篤司地主学第一識者/不動産オーナー経営学院代表/執筆者・ライター

地主学第一識者/不動産オーナー経営学院代表/執筆者・ライター/NewYork留学、外資系投資銀行、不動産経験20年/不動産経営を分かりやすく教える事を大切にしてます。これまで日本で10,000人以上のオーナーと話し、不動産学として事例や成功体験を研究。創業80年名古屋の三代目地主の家系に生まれる。自らも実業家として宅地建物取引士、事業承継マネージャー、マンション管理業務主任者の資格を保有。プロの不動産投資を学び、家業再生にも力を入れ、借金を数年で完済することに成功。現在はビルやマンション、商業施設、駐車場等を経営。

中小企業庁主催「事業承継セミナー2017」モデル企業登壇/JFMA「不動産MBA」研究員/週刊ビル経営「建替え経営学」連載/全国賃貸住宅新聞/月刊不動産流通(宅建協会)ほか。

横山 篤司

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