悪い建築会社に騙された!建築シミュレーションで確認するべき8つのポイント
2022.04.11
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今、日本では空前の賃貸アパートやマンションの建築ブームです。
しかし、サブリース、30年一括借り上げ、家賃保証と、安定した経営を保証するかのような言葉が並び・・・
実際にアパート建てたら5年も経たずに、契約改定!?
うまく親は騙せても、息子の代になるとすぐに家賃値下げ・・・
このように建築会社に騙されたり、トラブルで泣き寝入りしている現状が多くあります。
そこで、「土地活用で失敗した」というたくさんの声を通して、アパートの土地活用で成功するために最低限抑えておくべき知識をまとめました。
目次
はじめに:私の体験「数字がわからない賃貸オーナーの現状」
「利回りはいい方です」 そう言われて賃貸アパートを建てることを決断した60代のAさん。 しかし、アパート収入の想定数字が無茶苦茶。。。。 その事実が分かった時には、すでにアパートを建ててしまったあとでした。 このような話は、ほぼすべてのアパートの新築時に起こり得ることです。一括保証だからだいじょうぶ!?
大手だから安心、一括保証だから大丈夫、営業マンが信頼できる、というのがAさんの最初の印象でした。 しかし実際に私に相談をしたAさんの場合は、すでに深刻な状況でした。 私からの相談を受けたときには、すでにアパート建築会社の勧めで新築3棟を建てており、その賃貸経営の収支に苦しんでいました。 そこでアパートを建てたときの事業計画書を見ると、とてもこの数字(収支)ではアパート経営が成り立たないことがすぐにわかったのです。子どもへの相続対策のために建てた
Aさんの親もアパートやマンションを建てて自分に資産を残してくれた。 あの時代はよかった。 しかし30年まえのアパートたマンションの土地活用はもはや厳しいかもしれない。 薄々は分かっていた。。。 具体的には、「相続対策のために建てた」というアパートが、10年も経たずに空室を多く抱えていたり、当初の想定よりも賃料が下がり、日々の経営収支がマイナスとなっていたのです。土地活用で投資対効果を考えるためにやるべきことは?
そこで、多くの賃貸オーナーがなぜ不動産投資や土地活用において、「数字」を気にしないのかに疑問を持った筆者は、その原因をひとつずつ紐解いてみました。失敗から学ぶケース②東京都に住む60代賃貸オーナーA氏 |
アパート賃貸セミナーに15年前から通っていたというA氏。 すでに親の跡を継いで賃貸経営をしており、日課は、毎朝の花壇の清掃である。そんなA氏がコンサルタントのM氏と出会ったのは10年前でした。その人柄の優しさに惹かれて、M氏が企画した賃貸アパートを建てるべく、M氏の紹介で知り合ったアパート建築会社で建築をすることを決めました。 M氏からは、「私の賃貸住宅は個性的でファンも多いので、オーナーのAさんも必ず気に入ってくださる」と話したいたそうです。A氏には、M氏の心の豊かさや心強さに惹かれて、彼ならば困った時に必ず助けてくれるから建てようと決意したと言います。ただし、A氏が所有する土地は、郊外でしたので賃貸需要が少ないことは分かっていたが、M氏のデザインが好きで決めたと言います。 現在、アパートが建ってより8年、入居状況が芳しくないために賃貸収入が少なくなり、さらに毎年の仲介費やコンサルタント費が高いために、銀行のローン返済に苦しんでいる。 |
1.事業シミュレーション時に気を付けておくこと
新築の事業シミュレーションをする際に気を付けておくべきことを紹介します。 事業シミュレーションをするときは、- 収支計算の公式をしっかり理解する
- 費用想定をしっかりする
- 賃貸需要を調査する
①投資利回りがよい?
これは1億2600万のアパート建築の実例です。 こちらがアパート建築の見積もりになります。※クリックすると拡大します
そしてこちらが賃貸収入の想定と利回り計算になります。 この想定表をみていくと、年間の想定収入は7,800,000円とあります。1Kのお部屋8戸と、自宅のお部屋1戸の全9戸の賃料収入です。その年間の想定収入に対して、建築費の96,033,600円?を割った8.12%というのが単純利回り?という利回りを表しています。 まず、プロの目からすれば、「単純利回り」が何を指しているのか分かりません。 この単純利回りを計算したところ、 年間の想定収入÷工事関係費(建築費の一部)が、業者が算出した利回りは8.12%です。 いちおう、「利回り8%あるからだいじょうぶだ?」という議論があったそうです。 そこでこの数字の中身を見ていきましょう。まず、この表より、「工事関係費」というのは、建物の躯体部分にかかる費用のようです。その建物の躯体の金額から年間の想定収入を割り戻して利回り計算をした結果、「利回り8.12%」となりました。 これは実はいまも続く、大手不動産メーカーの収支シミュレーションの実態です。 つぎに私が計算したところ、土地代5000万円+建物代1.17億円=1.67億円(投資総額) 1.67億円÷780万円=4.67%
私が実際に算出した利回りは4.67%となります。 このように、業者が提案した「利回り8.12%」と、私が計算した「利回り4.67%」が、同じ条件での不動産投資をした利回りの実態です。まずは利回りの考え方をしっかりと理解していきましょう。②30年が経っても収入が一定(収入)
次に家賃収入を見ていきましょう。※クリックすると拡大します
このとおり、家賃収入は常に満室の状態で、一日も空室がない予測数字です。 毎年の家賃収入780万円を30年間、1円も家賃が下がることがない収支想定です。 これまで業者は、「サブリース(建築会社が代わりに家賃収入を保証する)なので30年間一定の家賃が入る」と回答をしていたのです。しかし、このサブリース問題が社会で大きく取りださされるようになってからは、「家賃は一定期間で見直しがあります」という回答になりました。 結論、家賃収入が30年間、同じ金額が入り続けることはありません。 とはいえ、プロでもわからないのが、このアパート業界のサービスの定義です。 それが、この一括借り上げ、家賃保証、サブリースの違いです。一括借り上げ | 建物管理や入居者募集をすべて管理委託するサービス |
家賃保証 | 入居者とトラブルとなったり家賃未納となった場合の損失を保証するサービス |
サブリース | 満室時想定賃料の70~80%をオーナーに必ず支払うサービス |
③20年間の修繕費が入っていない(支出)
次に修繕費を見ていきましょう。※クリックすると拡大します
これは15年目までの修繕積立金が想定されています。 毎年の修繕積立は23.4万円です。10年間で234万円、20年間で468万円です。 そこで、私が計算をしてみましょう。 私が計算した結果、20年目目の大規模修繕は、建築費の約20%と想定するならば2400万円はかかるでしょう。具体的には、防水工事300万円、外壁改修700万円、専有部修繕800万円、設備600万円といったところです。 ですが、修繕は一度に発生しません。 大規模修繕が行われるのはアパートを建ててから15年から20年後ですから、急に修繕費用がかかるのです。 もし、この修繕費が払えなければ今後の維持管理ができないとして、大手不動産会社のサブリース保証を解除させられるという事態も実際に起こっています。 そうなってしまうと、「失敗から学ぶ①」でお話したように、オーナーが一人で不満の声を上げてもなかなか私たちの元に声は届きません。その結果、15~20年目にサブリース物件の売却というのが全国で多発しています。 残念ながら、相続対策は失敗です。 つまり、親の代ではアパート経営で相続対策が成功したと見せかけて、子どもの代では修繕費がないために物件売却せざるを得ないというシナリオです。 20年間の長期修繕費は、建築費総額の最低20%以上と理解していきましょう。④管理費が安すぎる(支出)
次に管理費です。 管理費は毎年39万円となっています。月で割ると、管理費は月額3万円です。 この収支想定を作った営業マンに一生清掃員として働いてもらいましょうw さて、私の方で再計算したところ、年間ベースで、管理費は78万円、火災保険料10万円、水道光熱費60万円、決算等諸経費を加えて841万となりました。 毎年の収入が780万円で、支出が841万円なので、毎年61万円の赤字が30年間続きます。 なかには、オーナーが自分で清掃や修繕をするから管理費用を入れないという、良心的なオーナーさんもいらっしゃいますが、そもそも運営赤字の状態です。 この収支状況で、将来子どもが物件を引き継ぐにしても、彼らの貯金を取り崩して賃貸経営をしなければならないので、貯金がなければ相続時に売却せざるを得ないでしょう。 つまり、新築時はギリギリの収入が確保できていたとしても、将来、物件が老朽化した際に、管理を続けることは到底難しいといえます。 ですから、新築アパートを建てる時点で将来の収支は決まっているという意識を持ちましょう。⑤金融機関にも問題がある
今回の件ではオーナーが貯金の中から400万円を出し、土地も担保に入れて1.25億円の融資を得ました。 新築アパートを長期で保有する上での指標をお伝えすると、 土地代と建物代をあわせて利回り6%以上でなければそもそも新築赤字という指標があります。返済年数 | 元金返済分 | 金利返済分 | 修繕返済分 | 手残り |
25年返済 | -4% | -1% | -1% | 0% |
30年返済 | -3.3% | -1% | -1% | 0.7% |
40年返済 | -2.5% | -1% | -1% | 1.5% |
返済年数 | 建物の耐用年数が30~40年ですから、返済年数は比較的長期となります。 |
元金返済 | 借入金額を何年で返していくかという金額(利回りの●%) |
金利返済 | 借入金額の元本に対して毎年かかる金利の金額(利回りの●%) |
修繕返済 | 20年に一度の修繕費が1%ほどかかります。 |