駐車場契約で仲介料は払うの?失敗しないために知っておくべき11のトラブル
2021.09.24
結論から言いますと、駐車場会社との契約に際して仲介料が発生することはありません。
しかし不動産会社から仲介料を請求された、契約時に初期手数料を請求された、更新料や修繕費を請求されたなど、業者とトラブルになることがあります。
実は、駐車場経営でのトラブルは少なくありません。
筆者自身は、月極駐車場、コインパーキング、立体駐車場といった駐車場をいくつか経営しています。
そこで、駐車場経営のトラブルや失敗を防ぐために、必ず知っておいてほしいことを11のポイントにまとめて解説します。
目次
1. 初期契約時について
結論からいいます。
多くの不動産オーナーが駐車場経営で失敗する主な理由は、
駐車場経営は簡単だから失敗することはないだろうと信じられているからだと思います。
そのため、駐車場会社から提案された内容に対して、何も確認をせずに、契約をする方が多いのではないでしょうか?
そこで、初期契約を結ぶときに起こりがちなトラブルを見ていきましょう。
1-1. 初期契約料はかかるのか?
一般的には、契約時に「初期契約料」がかかることはありません。
また、駐車場会社に対して「調査料」「事務手数料」「礼金」といった初期契約料に関連する費用がかかることもありません。
ただし、以下の場合には例外があります。
<例外①>
あなたが駐車場のフランチャイズ(FC)に加盟するのであれば、
加盟料や保証金がかかる場合があります。
<例外②>
あなたが駐車場の初期契約業務や管理業務を不動産会社などに委託するのであれば、
月額賃料の1カ月分の業務委託報酬を払う場合があります。
<例外③>
無料で複数の駐車場会社から相見積を代行する会社があります。
その場合は「初期契約料」がかかったり、「保守管理料」が高い可能性があります。
1-2. 契約時に仲介料を払うのか?
駐車場会社と契約する際に、オーナーの土地を駐車場会社が借上げします。
この土地の賃貸借契約を結ぶために、
「仲介料」を支払う必要があると思っている方も少なくないでしょう。
一般的には、駐車場会社との契約で「仲介料」がかかることはありません。
土地の所有者と駐車場会社との間では以下の契約を結びます。
・土地賃貸借契約(土地をオーナーから借りる契約)
・駐車場賃貸借契約(駐車場として土地を利用する契約)
・工事請負契約(看板等の工作物や構造物をつくるとき)
このような「駐車を目的とする契約」は、宅地建物取引業法の適用からは除外されております。
また、借地借家法の適用からも除外されています。
つまり、駐車場は土地を利用する上での民法の規定による「賃貸借」にすぎないということです。
よって、契約方法や契約費用については決まりがなく、
駐車場契約は貸主(駐車場会社)と借主(土地所有者)の合意で成立します。
1-3. 初期設置費用は何を負担するのか?
駐車場経営をはじめるうえでは、初期設置費用がかかります。
主に、
・土地整備費
・看板設置費
・機器・工作設置費
があります。
<土地整備費>とは、整地、アスファルト舗装、側溝敷設、電源引き込みなどにかかる費用です。
<看板設置費>とは、料金案内看板代、電飾看板・満室表示機などにかかる費用です。
<機器・工作設置費>とは、監視カメラ、フェンス、場内照明、コインパーキング機器(フラット盤、料金徴収管理機器、約定看板)、テント、区画線設置、車止めブロックなどにかかる費用です。
<その他>として、保険料、水道光熱費、固定資産税、町内会費もあります。
なお、費用については、『完全保存版!駐車場経営に必要な経費と金額まとめ』をご覧ください。
完全保存版!駐車場経営に必要な経費と金額まとめ
1-4. 初期契約時の契約方法とは何か?
土地所有者が初期設置費用をどのくらい負担すべきかについては、駐車場会社との契約方式によって費用負担が異なります。
主に5つの契約方式があります。
- 借上げ方式
- 販売方式
- 保守委託方式
- 共同運営方式
- 自主運営方式
コインパーキング機器の購入代やリース料を他社と比較することはできますが、駐車場会社によって指定のメーカー機器が決まっていることが多く、他のメーカー機器でも「継続使用」あるいは「買い取り」を認めてくれることは少ないでしょう。
いずれの貸し方を選ぶにせよ、投資が必要となります。
新規でコインパーキング会社と契約する場合だけでなく、既存のコインパーキング会社から変更する場合もあります。
必ず比較検討をして、一番いい条件を選ぶようにする必要があります。
駐車場会社と契約する前に知るべき7つのノウハウまとめ
◆契約後のトラブルが起こりにくい理由
契約後のトラブルの大半は表沙汰になることがありません。
なぜならば、駐車場経営のトラブルの主な原因の1つは、アパートやビルの経営とは違い、管理規約や、原状回復などの基準が分からず問題に気付かないことです。
加えて、駐車場を管理する際の費用負担にルールや基準がないので分かりにくいことです。
そのため契約後にも駐車場会社と様々なトラブルは起こります。
特に減額交渉では、オーナーさんが泣き寝入りしてしまう方が多いのです。
1-5. 保守・管理料は安くならないか?
駐車場を保守・管理する上では、
どんな設備を設置するかによって月々の保守費用や管理料が異なります。
月極駐車場であれば、更地をそのまま駐車場として貸すことができます。保守・管理料は必然的に安くなります。
時間貸し駐車場(ロック式駐車場等)であれば、機械の維持管理費がかかります。保守・管理料が高くなります。
またタワー式駐車場などの構築物をつくる場合は、駐車台数が増えるので駐車場収入が上がりますが、一方で設備の投資費用や保守・管理料が上がるので費用も上がります。
1-6. 契約の途中解除はできないか?
一般的に駐車場会社と契約を結ぶ場合は、
最低〇年間は解約禁止できない、あるいは違約金が設定されています。
現状では最低3年間は解約できないことが多いでしょう。
機械設備を設置する場合は最低5年間は途中解約できないと考えましょう。
このことを踏まえた上で、試算を行いましょう。
1-7. 減額交渉されたらどうするのか?
駐車場会社との契約では、経済状況の変化等に応じて賃料交渉ができる場合があります。
そのため、駐車場会社と契約して数年後に賃料の値下げ交渉をされてしまったということもあるでしょう。
駐車場売上は一般的に長く経営すれば認知度が高まると言われています。
ですから、減額交渉を受けたときは焦らず、再度、別の駐車場会社と相見積をすることも一手です。
1-8. 設備の修繕代は請求されたらどうするのか?
駐車場会社との契約によっては、設備の修繕代を請求されることがあります。
そして、その修繕代が高いことが理由でトラブルになることもあります。
設備の保守・管理・修繕については初期契約時の取り決めに従うことが多いため、契約内容によってはオーナーが負担します。
ただし、設備の故障等には、 火災保険等によって修理・復旧できる場合があるので、
まずは保険内容をしっかり確認してみましょう。
また駐車場内で事故が起こった場合は、事故を起こした方が責任を負います。
こうしたリスクに対しても、自動車保険や火災保険などで対応することが一般的です。
1-9. 設備の買い取り請求を求められるか?
駐車場会社から短期間の解約の場合に設備の買い取りを請求されることがあります。
たとえば駐車場の売上が低いことが理由で、新たな駐車場会社に変更したい場合です。
その際に設備のメーカーや機器の仕様が異なるために、
新たな駐車場会社にそのまま引き継げないことが問題となります。
1-10. 契約終了時に現状有姿のまま引き渡しを受けるか?
契約の終了時は、原状回復を行うことが一般的です。
原状回復とは、契約時に貸したときの状態に戻すための工事をしたうえでオーナーへ返還することです。
例えば土地の所有者が駐車場会社へ更地で貸し、駐車場会社がアスファルト舗装を行っているのであれば、アスファルトを解体して更地にして戻すことが原状回復です。原状回復のトラブルの多くは、貸した時はどの状態であったのかを土地の所有者が立証できず、結果として使用後の状態(現状有姿)で戻ってくることです。
以下の画像は、私が経営している駐車場のひとつです。
現状有姿では劣化が著しいことが分かると思います。
1-11. 土地の返還を認めてくれない?
一般的に、駐車場契約は「一時使用契約」です。
一時使用契約とは?
賃借人が一時的な目的のために借りる時だけ契約することのできる賃貸借契約です。一時使用目的の賃貸借契約は、借地借家法の適用が無いため、民法の規定が適用され、存続期間(契約期間)の満了をもって契約は終了します。
そのため、土地の所有者と駐車場の利用者との間では権利関係の問題が発生することは少ないと考えられます。
しかし、駐車場利用者から土地を返還してもらうときに、お金や時間がかかる場合があります。
1つの事例では、長年に渡り、駐車場を隣地に住む利用者に貸していました。しかし、近隣の再開発に伴い、駐車場を通らなければ利用者が行き来ができない状態になってしまいました。こうした場合、駐車場としている土地を通らなければ隣地が通行できない状態になり、通行権の裁判になることがありました。
まとめ:駐車場経営の実例
このように、駐車場経営の失敗のほとんどは、契約に関するトラブルです。
こうした失敗をすることなく、うまく経営していくには、さまざまな知識やノウハウが必要です。
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