第十九回 資産家がみんなやっている資産拡大のススメ

<建替えフェーズ③ 建替え時に気を付けたい3つのポイント> |
2017年春に名古屋駅前で新ビル竣工。2015年6月に本社ビル解体着手するまでに5年、建替プロジェクト完遂までに足掛け約8年の歳月をかけた上で再建し、父と共に「戦略的不動産経営5カ年計画」を実行した経験則をお伝えします。現在は全国の中小不動産オーナーの建替えプロジェクト顧問に就き、不動産学校内でプロチームを組成。新築ビルの竣工前満室、本社ビルの財務健全化、トラブルの自力解決など数多くの事例を積み上げる。
○私の経営体験談
私たちの相続争いの始まりは「1棟のビルを3人の後継者で争ったこと」にはじまります。相続においては「資産を平等に分ける」というのが日本の法律です。専門家の間では、資産を平等に分けるために「家族信託」や、「遺言」といった手法が使われます。しかし、そもそも「不動産の共有」という状態は続いています。
私の父はこれを「悪平等」とよく言います。一つの不動産を3人が相続した時に、たとえ「収入」が3等分されても、修繕や建替えといった「支出」の判断や、専門家の交代といった「ヒト」の問題に直面します。つまり、経営は3人が仲良く行えるほど甘いものではありません。
〇ポイント=資産を守るのではなく運用する
そこで、私は3つの方向性を資産家の皆さんに提案しています。①小さな物件の購入や事業を作る。②1つの土地を複数に分けておく。③継ぎやすい資産へ建替える。まずはその理由をお伝えします。
私の経験では、不動産は地域によって「適切な土地の広さ」があります。土地が広すぎると1人のオーナーが所有するには手に余ります。新たなテナントを見つけるのも大変です。また、受け継ぐ人にとっては資産の運用が難しいことや、兄弟姉妹で不動産が共有になってしまう課題もうまれます。
そこで私がお勧めするのが「大きな建物を建てるよりも小さくたくさん建てる」ことです。たとえば戸建て賃貸や、郊外ロードサイドの店舗など、収益の生まれる不動産を複数に増やしておくことです。こうすることで将来不動産を切り分けたりすることもできます。