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取り壊し前の古い建物

【店舗】店舗の立ち退き料で1件あたり3000万円は本当か!?3年間の交渉実務を紹介

2021.05.26

ライター:横山 篤司

店舗の立ち退きとは、飲食店、サービス店、物販店やクリニックといった事業用の店舗に対して明け渡しをお願いする行為を指します。

住居や事務所と比べて立ち退きの難易度が高く、また店舗も代替地が見つかりにくいことから明け渡しまでの期間が長くなり、立ち退き料も高額となるのが通例です。

ここでは、店舗への立ち退き事例を基に、攻略、チェックポイントについてまとめました。

店舗の立ち退きとは?

建物改修や修繕にはお金がかかる

立ち退きとは、建物のオーナーが建物を解体する際に、現在入居している人に対して建物の明け渡し請求をすることです。

店舗の立ち退きは、

・代替候補地が見つかりにくい
・引っ越し代が高額となる
・場所を移転すると店舗の売り上げが下がる
・すでに厨房やキッチンといった設備に多額の費用がかかっている

といった点で住居や事務所と比べて立ち退きが難航すると言われています。

弁護士に相談すると、店舗1件あたりの立ち退き費用で3000万円~4000万円かかるといわれ、弁護士報酬が数百万になってしまうというケースがあります。

しかし、筆者がこれまでに調査したところによると、これまでトラブルがあった、悪意のある入居者でない限り、双方の示談で数百万円もあれば十分であると思います。むしろ立ち退きの経験が少ない弁護士が立ち入ることで入居者とトラブルになることもあります。

まずは本人(賃貸人)がしっかりと法律を理解し、適切な順序で交渉を行えば、十分に対応はできます。

一般社団法人不動産オーナー経営学院REIBSでは、独自の調査をおこない、全国の立ち退き事例を収集しています。1000人以上の不動産オーナーがこれまで受講し、悩みを抱えるオーナーのために不動産経営に関わる専門情報を提供しています。

全国の立ち退き事例を調査した結果、弁護士が入り、かつ立ち退きの裁判に至ったケースというのは全体の3%程度であることがわかりました。

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実際に多額の立ち退き料を支払うケースは少なく、そのほとんどが「双方(オーナーと入居者)の示談による解決」でした。

 

【実例から解説】立ち退き交渉

対象事例における課題とは?

築38年店舗3階建ての建替え実例
〇〇県で店舗3階建て(築38年)の不動産業を営む不動産オーナーH氏(55歳)は、雨漏りや機械設備の老朽化に伴い多額の費用がかかるなかで、管理を継続するか、建替えをするかについて悩んでいた。建物は郊外にあり、入居者が見つかるまでに時間がかかるだけでなく、家賃が低くなり運営赤字となってしまう状態続いていた。父より受け継いだ物件のため、愛着はあるものの、店舗入居者からのクレームや、設備不良が続いていることから、それらの対応に追われて精神的にも辛い状況であった。

<建物概要>
敷地面積:約1000坪(敷地面積250坪)
用途:事務所、店舗、クリニック、学習塾、スタジオ、音楽関係、美容室他
構造:鉄筋コンクリート造/地上3階
設備:冷暖房完備、敷地内駐車場

建替えを決断するに至る背景は?

店舗の築古物件を所有していて課題となるのが「店舗入居者の滞納やクレーム」です。

築古の店舗となると、

・以前と比べて店舗入居者の質が下がった
・滞納が続いている
・騒音、異臭、近隣トラブルが絶えない
・勝手に看板が設置された
・設備トラブルのクレームでオーナーに電話がかかってくる

といった課題があげられます。

しかし、上記の問題があったとしても、「賃貸人(オーナー)の都合では解約できない」のがネックです。

賃貸人(不動産オーナー)の心理としては、「入居者に問題があるのだから退去してほしい」と思いたいところですが、店舗側には「借家権」や「営業権」があるため、その入居者の利益を損なうことはできないとされています。

借家権
建物の賃借権をいう。 建物の賃借権は、通常の賃借権と異なって、借家人を保護するために特別の取扱いを受ける。(借地借家法) 
営業権
営業権とは、当該企業の長年にわたる伝統と社会的信用、立地条件、特殊の製造技術及び特殊の取引関係の存在並びにそれらの独占性等を総合した、他の企業を上回る企業収益を稼得することができる無形の財産的価値を有する事実関係である。(昭和51年7月13日最高裁判決)

そこで、よい入居者に入れ替える、建替えをすることを視野に入れていきましょう。

建替えにはどのくらい前から準備を行うべき?

立ち退きの流れ

店舗の建替えでは、どのくらい前から準備を行うべきかについては、2年~3年前から準備をするのが理想です。

それよりも短い期間で解体計画を立てると、店舗の立ち退きで数千万円の立ち退き料がかかる可能性があります。

※この店舗ビルでは、2019年より計画を行い、立ち退き準備で2年、2021年より立ち退きを始めて現在6カ月目です。(4件合意済/8件入居者)

 

店舗の立ち退きの流れとは?

店舗の立ち退きの流れとして、

①転居の打診(準備~お知らせ~転居の打診まで6カ月から1年)

②転居先の提案(転居の打診~転居先の提案まで1年から2年)

③明け渡し請求(上記に応じない場合は期日を区切って通知)

④訴訟(明け渡し請求~訴訟まで1年~2年)

⑤判決

という立ち退きの流れを抑えておくとよいでしょう。

そこで、店舗の立ち退き実務をする前にどのような準備を実際に行ったか?という流れを紹介します。

店舗の立ち退き実務とは?

転居の打診(準備~打診まで6カ月から1年)

・既存入居者が投資した設備・内装費用の再算出
・入居者が求める広さや条件のヒアリング
・駐車場や倉庫等の必要有無のヒアリング
・新規賃料条件のヒアリング
→普通借家の場合は新賃料を提示
→定期借家の場合は5年間割安賃料を提示
・代替駐車場、代替敷地の事前準備

代替物件の提案(打診~提案まで1年から2年)

・代替物件のボリューム設計
・デザイン~基本設計
・入居者のステイタス、収入、状況を確認
・予約契約(内諾)

明け渡し請求(上記に応じない場合は期日を区切って通知)

・弁護士への依頼

・最終条件提示

訴訟(1年~2年)

判決(成立)

という順番をあらかじめ抑えておくとよいでしょう。

立ち退き料の基本を知りたいという方は下記の記事も参考になさってくださいませ。

立ち退き料の相場を5つのポイントで徹底解説【店舗・ビル・テナント・一軒家共通】

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ライター紹介

横山 篤司地主学第一識者/不動産オーナー経営学院代表/執筆者・ライター

地主学第一識者/不動産オーナー経営学院代表/執筆者・ライター/NewYork留学、外資系投資銀行、不動産経験20年/不動産経営を分かりやすく教える事を大切にしてます。これまで日本で10,000人以上のオーナーと話し、不動産学として事例や成功体験を研究。創業80年名古屋の三代目地主の家系に生まれる。自らも実業家として宅地建物取引士、事業承継マネージャー、マンション管理業務主任者の資格を保有。プロの不動産投資を学び、家業再生にも力を入れ、借金を数年で完済することに成功。現在はビルやマンション、商業施設、駐車場等を経営。

中小企業庁主催「事業承継セミナー2017」モデル企業登壇/JFMA「不動産MBA」研究員/週刊ビル経営「建替え経営学」連載/全国賃貸住宅新聞/月刊不動産流通(宅建協会)ほか。

横山 篤司

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