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シリーズ事業承継①

【週刊ビル経営連載】シリーズ事業承継①私はビル経営の息子

2022.07.26

ライター:横山 篤司

私はビル経営の息子

私が物心つく前から、

祖父をはじめとした一家は総出でビル経営を行い、

多くの社員を抱えていました。

 

まさに戦後復興期から高度経済成長がはじまるなかで、

親族も社員もみな総出で働いた昭和の時代だ。

 

平成に入ると間もなく創業者の祖父が亡くなり、社員も二代目や親族が相続争いをはじめた。

共同経営者や地権者も争いに加わり、

社員も資産の4分の3以上を失ってもなお裁判が続く日々だった。

 

令和に入る頃には唯一の不動産であった築古ビルを売却しようかと思い悩む

一人の経営者、父の姿があった。

私は当時26歳。

不動産のことは分からないが、父のために助けになれないかと考えるようになった。

 

事業承継に正解はない

経営を続けるには多くの情報と決断する勇気が必要となる。

父は三代目候補の私にビルの掃き掃除をしろとまでは言わなかったが、

二言目には資格を取れ、地元に戻って働け、などのアドバイスをくれた。

 

今となってはそのアドバイスが役に立つどころか、

私がビル経営を継ぐ時期が遅れれば、

築古ビルの老朽化、空室悪化、相続税の問題などが重なり、

今頃は無一文になっていたとさえ思う。

 

そんな話にも笑いながら、息子の行動を褒め称える父の姿が今ある。

なぜならば事業承継は成功すれば官軍だからだ。

 

実は、事業承継はこれで終わらなかった。

父は私たち一家が土地への執着、建物への愛着から解き放たれなければ

幸福は訪れないと思うようになったからだ。

 

「人間50年、ビル経営も50年。」

父は自身の人生録ともいえる建物を解体し、

築50年の節目となる2017年に更地にした。

 

父は「俺が生きている間に壊して過去の遺恨も悔恨も残さない」と言い放ち、

建て替えを決断したのだ。

 

また二代目の責務として、

ビルで共に働いた従業員に「私たちのビル経営は成功した」と戦果を伝え、

船を沈める経営者の父の姿も垣間見ることができた。

ビルで共に働いてきた管理人のおじさん、警備のおじいちゃん、たくさんの人が涙を流してくれた。

ビル経営に終わりはないというが、

見事な幕引きを65歳でやり遂げた父に敬意を表したい。

 

それから5年後、

父は70歳で退職を決意した。

この物語はビル経営を生き抜く親子の事業承継バトルの実話である。

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ライター紹介

横山 篤司地主学第一識者/不動産オーナー経営学院代表/執筆者・ライター

地主学第一識者/不動産オーナー経営学院代表/執筆者・ライター/NewYork留学、外資系投資銀行、不動産経験20年/不動産経営を分かりやすく教える事を大切にしてます。これまで日本で10,000人以上のオーナーと話し、不動産学として事例や成功体験を研究。創業80年名古屋の三代目地主の家系に生まれる。自らも実業家として宅地建物取引士、事業承継マネージャー、マンション管理業務主任者の資格を保有。プロの不動産投資を学び、家業再生にも力を入れ、借金を数年で完済することに成功。現在はビルやマンション、商業施設、駐車場等を経営。

中小企業庁主催「事業承継セミナー2017」モデル企業登壇/JFMA「不動産MBA」研究員/週刊ビル経営「建替え経営学」連載/全国賃貸住宅新聞/月刊不動産流通(宅建協会)ほか。

横山 篤司

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