駐車場9台で月40万円収入、初期投資400万円のコインパーキング導入事例
2023.04.7
今ある駐車場をコインパーキングにしようと検討している、投資をしてさらに2つ、3つと駐車場経営を増やしていきたい。
今回は、駐車場経営で月収入12万円から40万円以上で売上3倍にさせた事例を基に、稼動率の向上と収入強化をするうえでのポイントをまとめました。
コインパーキングの特徴は、
・駐車場の利用者の回転率が高く、
・利用者数に対して最適な台数が確保できる
ならば高稼働率を維持できます。
筆者の私自身も駐車場経営を複数カ所でしており、駐車場会社の営業マンたちと日々打ち合わせをしています。今回は実例を基に、数字や根拠とともに解説していきますので、ぜひ参考にしていただければと思います。
筆者、横山篤司学長の経歴はこちらをご覧ください。
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教材名:駐車場経営の教科書(2018年初版/2023年第三版)
内容:47ページ
編集:不動産オーナー経営学院
目次
1. はじめに:コインパーキング5年間の売上実績
最初に、駐車場収入の実績をお伝えします。
私が経営する駐車場は、一つの駐車場の中に9台の時間貸し駐車場と、5台の月極駐車場です。
下の画像が実際のものです。
2014年6月よりコインパーキングをはじめ、2019年5月までの5年間の駐車場経営を紹介します。
このコインパーキング9台の初期投資費用は400万円、投資利回りは50%程度です。
月極駐車場のままであれば売上120万円程度ですので、2018年時点の売上と比較していえるのはコインパーキングにして売上が3倍以上になったといえますね。
この駐車場の売上の推移は次の通りです。
駐車場の5年間の売上推移
2014年:2,344,600 月平均 19.5万円
2015年:3,006,900 月平均 25.0万円
2016年:2,800,000 月平均 23.0万円
2017年:3,779,200 月平均 31.5万円
2018年:4,212,800 月平均 35.1万円
この収入に加えて、月極駐車場5台で10万円/月と、駐車券3万円/月の売上もあります。
※2023年現在、年収600万円、月平均50万円を維持しています。
この駐車場の立地は、私が経営するマンション住居棟50戸と店舗棟2店舗が隣接する場所にあります。大通り沿いからは目立ちにくいため、駐車場の看板を立てています。
今回は、5年間で駐車場収入を大幅に上げ、利回りを改善するために行った過程プロセスについてお話します。
2. 駐車場の当初の現状と課題(2013年)
まず、駐車場の改善前です。
2013年以前は月極駐車場として13台(1台あたり15,000円/月)を貸していました。
ただし、機械式駐車場が故障していたため2層部分が使用できませんでした。
よくあることですが、機械式駐車場は20年近く経つと故障が頻繁となったり、トラブルが多くなるのです。場合によっては駐車場収入よりも管理費用の方が高くなることだってあります。
この機械式駐車場には収支以外にも大きく3つの問題があることが分かりました。
・駐車場台数
・稼働率
・維持管理費
の3つです。
2-1. 駐車場の台数が少ない
1つめは、すべてのマンション住民に対して駐車場が確保できなかったことです。
具体的には50戸の住民に対して13台までしか駐車場が貸せないため、月極駐車場にすると1戸あたり1台の駐車場が確保できないことが課題でした。
このように駐車場の利用者を誰にするかで駐車台数が不足することがあります。
2-2. 駐車場の稼働率が低い
2つめは、月極駐車場の24時間の稼働率が低かったことです。
当時の駐車場の利用者は日中は外出しているためにほとんど使用されておらず、夜間に数台停まっているという状況でした。
このように時間貸し駐車場の方が利用を見込める可能性があるにも関わらず、月極駐車場のままということがあります。
2-3. 機械式駐車場の維持管理費が高い
3つめは、機械式駐車場(22年目)が故障して維持管理費が高かったことです。
特に20年を超える機械式駐車場では、リニューアル費用で1千万円近く、毎月の維持管理費で10万円近くかかることもざらです。
このように駐車場を維持管理するうえでのコストが問題となることがあります。
3. 稼働率を調査した結果(2013年)
そこで私が独自に調査し、駐車場収入=「駐車場台数 × 料金設定 × 稼働率」で再計算しました。
<当初の稼働率状況>
月極駐車場は1台あたり10,000円、契約者数は20台中8台、稼動率は昼夜で30%前後。
駐車場の売上および相場の調査
- 月極駐車場の相場調査
- 駐車場の稼働率調査
- 時間貸し駐車場の相場調査
<当初の借り上げ賃料>
さらに駐車場会社へ借り上げの相談をしたところ、以下のような回答でした。
月極駐車場としても利用者が少ないため、「一括借上げで月12万円程度」との回答。
<当初のコインパーキング適正調査>
建物の裏手にあるために目立たず、「コインパーキングとして運用するには不向き」との回答。
<当初の調査結果>
「駐車場会社からはお断り」との回答。
それでは、ここから、この問題をどのように乗り越えて、駐車場収入を増やしていったのかについて解説します。
4. 駐車場のマーケティング調査方法とは?
私は、まずはじめに駐車場の「現状分析」と「コインパーキングへの可能性」を調べることからはじめました。
駐車場のマーケティング調査をする上では下記の事柄を中心に調べました。
駐車場のマーケティング調査の質問事項
Q1. 現在の利用者は誰か、稼働率はどのくらいか?
Q2. 現在の月極駐車場の料金相場はいくらか?
Q3. 現在のコインパーキングの料金相場はいくらか?
Q4. 現在の車の進入路はどこか?
Q5. 看板を設置するならばどこがよいか?
ただし、コインパーキングだと一目でわかる立地ではなかったので、駐車場の利用者の可能性をマーケティング調査して以下の利用者を想定しました。
・建物利用者向け駐車場
・夜間利用する住民向け駐車場
・近隣の店舗来客向け駐車場
加えて、月極駐車場と時間貸し駐車場にはこのような特徴があります。
→駐車場タイプの種類と特徴まとめ
初期投資 | 利回り | 収入リスク | 運営費 | 回転率 | |
月極駐車場 | 低 | 低 | 低 | 低 | 低いと良い |
時間貸し駐車場 | 高 | 高 | 高 | 高 | 高いと良い |
ただし、利用者数以上にコインパーキングをつくってしまうと、逆に稼働率が下がってしまうことがあります。そこで稼働率、月極料金相場、時間貸し料金相場の3つの調査について順を追って説明します。
4.1 駐車場利用者の稼働率を分析する
まずは駐車場利用者の稼働率を分析しました。
具体的に駐車場利用者が誰であり、どの時間帯を利用しているかを調査した結果がこちらです。
<駐車場の利用者の分析結果>
建物店舗棟2店舗の利用者は日中の昼間のみ利用
・マンション住居棟の利用者は夜間に車庫として利用
この分析結果から店舗棟の駐車場を利用する人は、
①店舗を利用する人が数時間だけ駐車場に停めるケース
②店舗の従業員さんが利用するケース
と想定でき、稼働率は、24時間のうち昼間の6時間でしたから「稼働率25%」です。
マンション住居棟の駐車場を利用する人は、
③車庫として夜間に駐車場に停めるケース
稼働率は、24時間のうち夜間の12時間でしたから「稼働率50%」です。
昼間と夜間の駐車場に停まっている時間を合計しても、当時の稼働率は30%くらいでした。
これでは、駐車場にしていても収入が増える見込みも少なくて非効率ですね。
4.2 月極駐車場の料金相場の分析
次に月極駐車場の料金相場について調べました。
周辺の月極駐車場の料金相場は、1カ月で平置き駐車場15,000円、屋根付き駐車場20,000円でした。
全国の月極駐車場の料金相場はこちらからご覧ください。
また近隣の月極駐車場の稼働率についても調べました。
このように近隣の駐車場台数と空き情報を調べていくと、月極駐車場のニーズが高い地域であることが分かりました。また近隣には住宅街が密集しているため、駐車場利用者の大半は車庫の利用でした。
4.3 コインパーキングの料金相場の分析
さらにコインパーキングの料金相場について調べました。
コインパーキングの料金相場は、日中30分100円の最大料金1200円、夜間60分100円の最大料金400円でした。
※駐車場会社に近隣の料金相場を調べて頂いた資料より。
近くに学校、美容室、小さな店舗が点在しているため、駐車場の利用者の多くは日中から夕方であり、夜間は比較的空いていると想定しました。
5. コインパーキングを新たに作るうえで3つの大切なこと
ここで実際に月極駐車場からコインパーキングにするうえで大切な3つのことについて説明します。
コインパーキングにするうえでは、以下の3つのことが大切です。
<コインパーキングを新たに作るうえで3つの大切なこと>
☑駐車場の台数と配置を決める
☑利用者を広く取り込んでいく
また、
☑時間帯によって料金設定を変える
このノウハウと具体的な方法についてこれから解説をしていきます。
5.1 駐車場の台数と配置を決める
1つめは、駐車場の台数と配置を決めていきます。
理想的な駐車場を目指すうえで3つを考えるとよいでしょう。
理想的な駐車場の台数と配置
- 入り口が広くて車が入りやすい
- 車幅が広くてどの車種でも対応しやすい
- 車路幅が広くて出入りがしやすい
たとえば、大型の高級車やトラックが駐車することを想定する場合、駐車場入口の広さや、駐車場の車幅が重要です。小型車から中型車が駐車することを想定する場合はそこまでゆとりのある広さや車幅は必要ないでしょう。
車幅は広い方が出入りがしやすいが、もっと駐車台数を増やしたいというジレンマはあります。
5.2 駐車場の利用者を広く取り込んでいく
2つめは、駐車場の利用者を広く取り込んでいくことです。
駐車場の利用者を広く取り込むうえで3つを考えるとよいでしょう。
駐車場の利用者を取り込む方法
- 駐車場台数の割り振りを変えていく
- 利用者を増やすためにキャンペーンをする
- 看板が目立って分かりやすいようにする
たとえば、駐車場の利用者を広げて売り上げをあげていくうえでは、一度にすべてコインパーキングにして利用者を絞り込む必要はありません。月極駐車場と、時間貸し駐車場の稼働率を定期的に調査していくとよいでしょう。
5.3 時間帯によって駐車場の料金設定を変える
3つめは、時間帯によって駐車場の料金設定を変えていくことです。
昼間と夜間の料金設定を上げるうえで3つを考えるとよいでしょう。
駐車場の料金設定を変える
- 昼間と夜間の駐車場利用者の数は?
- 駐車場利用者が集中する時間帯は何時か?
- 定期的に駐車場を利用する人がいるかどうか?
たとえば2014年当初の昼間の料金設定は、「8:00~18:00」の10時間で「30分200円」としました。2018年時点では「8:00~22:00」に変更しています。
また近隣のコインパーキングの相場では「20分100円」のところが大半でしたので、相場よりも高い価格設定です。その代わりに建物店舗利用者や近隣店舗には「半額の駐車券」を発行し、お得意先には「30分100円」で駐車場を利用できるようにしました。
なぜこのような時間帯と料金設定にしたかというと、周辺の相場よりも高い料金にすることで、外部からの利用者を少なくしたかったからです。つまり、日中は店舗の利用者のために駐車場を一定数確保して、空いたところのみ外部からの利用者を受け入れるという方針にしました。その後、店舗の利用者が増えてきたため、昼間の時間帯を「8:00~22:00」まで伸ばしました。このように料金設定は変えていくことで収入が上がります。
夜間は近隣の相場の通り、「22:00~8:00」の10時間で「60分100円」としました。
このように昼間と夜間の料金設定を利用者数に応じて変えていくことで収入を底上げしました。
6. まとめ
コインパーキングの特徴は、駐車場の利用者の回転率が高く、かつ利用者数に対して最適な台数が確保できれば高稼働率を維持できます。
そのため、私はコインパーキングを9台、月極駐車場を5台という割り振りにしました。そして、駐車場の稼働率をあげるために、店舗棟に入居するお店や、近隣のお店に駐車券を配りました。
2階の店舗配置とコインパーキングの様子(2014年5月)
もちろん最初はうまくいかなかった時期がありました。だからこそ、何度も下調べをして、駐車場会社に任せっぱなしにするのではなく一緒に経営しようというスタンスが大切です。
駐車場契約で仲介料は払うの?失敗しないために知っておくべき11のトラブル
7. 駐車場経営の教科書をプレゼント
私の経験では、「立地条件が悪い」「稼働率が低い状態」であっても、マーケティング調査を行い、「原因を知ること」で改善する方法を考えることができます。
そして、こう考えてください。
あなたが駐車場の利用者であったとすれば、「どのような経路でコインパーキングに辿り着き、普段利用するならばいくらの料金が上限で、どんなサービスを受けたらもっと使いたい」と思えるかです。
この実体験や経験則を活かすことで、コインパーキングを考えている人だけでなく、私のスクールの受講生にもアドバイスをする際に非常に役に立つ記事であると思っています。
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本書は、筆者の私、横山が実際に15年以上の駐車場経営を通して得た経験や、100カ所以上の駐車場運営に関わってきた社員やスタッフの経験を、「駐車場経営の教科書(無料版)」として広くみなさまにお届けします。
教材名:駐車場経営の教科書(2018年初版/2023年第三版)
内容:47ページ
目次:
第1章 駐車場経営の基礎知識
第2章 未経験からの駐車場経営で月収50万円を達成するまでの事例
第3章 空き家を駐車場に変えてマイナスから月収30万円になった事例
第4章 月極から時間貸しに変更して月収45万円から80万円になった事例
第5章 さいごに
編集:不動産オーナー経営学院