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アパート経営の3つの失敗例と回避策

2022.08.25

ライター:亀梨奈美

アパート経営は、比較的、少額で始められるとともに、複数の世帯が入居する集合住宅であることからリスク分散もできる不動産投資です。 しかし、全くリスクのない投資というのは存在しません。アパート経営も例に違わず、一定のリスクをはらんでいます。 本記事では、アパート経営でありがちな3つの失敗例とその回避策を解説します。   キャッシュフローが残る不動産投資の基本を知りたい方はこちらからご覧ください。
利回りの目安は?アパート経営におけるキャッシュフローと利回りの計算方法!具体的な事例を元に解説
     
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アパート経営の失敗例①ローン比率

まず、第一の失敗例はローンの比率が高いことです。アパートの取得、あるいは建設にあたっては、ローンを組む方がほとんどでしょう。 新築アパートはとくに「フルローン」の融資も通りやすい傾向にあります。フルローンとは、購入金額すべてを融資で賄うこと。頭金ゼロで不動産投資を始められるとあって「フルローンを組める」ことが大きなメリットとして打ち出されることも少なくありません。 当然ながら、取得費用に対するローンの割合が高ければ高いほど、毎月の返済額は上がります。それと同時に、想定外のことが起きたときのリスクも高まるといえるでしょう。 「想定外」というのは、たとえば次のようなことです。
アパート経営で想定されるリスク
  • 空室率UP
  • 設備不良・故障
  • 管理の負担増
  • 金利上昇
  これらを想定したうえで、フルローンで融資を受けた場合の収支シミュレーションをしたのであれば「想定外」には該当しません。 しかし、投資アパートの販売会社や施工会社の中には「フルローンを組んでも黒字になる」と見せたいがために、販売時に有利な経営ができた場合のシミュレーションしか提示しない業者も。シミュレーション通りの経営ができない場合には、毎月の高額な返済額を超える収入を得られない可能性もあります。 さらに、フルローンで融資を組むリスクはこれだけではありません。 新築物件は、一定期間、ローン残債が資産価値を上回る「オーバーローン」の状態になります。つまり、売却金に自己資金を充当しなければローンが完済できないということです。 先立つ資金がなければ、毎月の収支が赤字になることに加え「売ることもできない」“負”動産にもなってしまいかねません。

回避策:あらゆることを想定した収支シミュレーションを

「頭金は少なければ少ないほど良い」と考えている人も一定数いらっしゃいます。たしかに、融資を受けることでレバレッジ効果は高まるでしょう。 しかし、そもそも「頭金」には、ローン残債と資産価値の乖離をなくすという目的もあります。一定の頭金を入れることで、不測の事態が起こった場合にも収益物件の売却・資産替えが可能になります。 頭金をいくら入れるかという判断をするには、あらゆることを想定した収支シミュレーションを行う必要があります。物件取得時には、販売や仲介をする不動産会社のみならず、FPや投資コンサルなどの意見をセカンドオピニオンとして聞いてみるのもおすすめです。  

アパート経営の失敗例②サブリース契約

(出典:国土交通省

「サブリース」によるアパート経営もまた、多くの失敗事例があります。代表的な例でいえば「かぼちゃの馬車」事件。スマートデイズ社のサブリース事業が破綻したことにより、物件オーナーが甚大な被害を受けました。 ▶【参考】「かぼちゃの馬車問題」とは何か?シェアハウスの不動産投資とは? サブリースとは、オーナーからアパートなどの物件を一括借上げしたサブリース業者が入居者に転貸借するという仕組みです。オーナーは、多くの業務をサブリース業者に一任できるため、最も労力がかからない賃貸経営方法だといえるでしょう。 管理・経営負担がかからないだけでなく「家賃保証」がある点が、サブリースの大きなメリットとされています。 しかし、保証される家賃は、契約途中に減額される可能性があります。「契約期間中は継続的に契約時の保証金額の収入が得られる」と誤認したまま契約を締結してしまうトラブル事例は多く報告されており、問題視されているのが現状です。 実際に、次のようなトラブル事例が報告されています。
サブリース契約におけるトラブル事例
  • しつこい勧誘を受けた
  • 契約翌年から5年間の家賃保証が守られなかった
  • 更新契約ごとに条件が悪くなる
  • 契約期間中にサブリース事業者から解約された
  • 想定外の経費を請求された
  • 自己資金のないオーナーの預金通帳の残高を改ざん
(参考:金融庁・消費者庁・国土交通省

回避策:契約書面をよく確認

サブリース契約を検討する場合は、契約条件を確認することがなにより大切です。消費者庁などでも、次のような注意喚起をしています。
  • 「家賃保証」と謳われていても、入居状況の悪化や近隣の家賃相場の下落により賃料が減額する可能性がある
  • 「空室保証」と謳われていても、入居者の募集時等に賃料支払の免責期間が設けられている場合もある
  • 「30年一括借り上げ」と謳われていても、契約書でサブリース業者から解約することができる旨の規定がある場合は契約期間中であっても解約される可能性がある
  • 固定資産税や建物の修繕費用など契約後の出費もある
  トラブル事例が後を絶たないサブリース。2020年には「サブリース新法」といわれるサブリース事業者への誇大広告や不当勧誘を規制する法律が新設されました。 しかし、法律で規制できるのはトラブルに発展する可能性ある事由の一部にすぎません。「契約」である以上、当事者であるオーナーが自らの責任のもと事業者や契約内容を見極める必要があります。必要に応じて、契約書のリーガルチェックを受けることもおすすめします。  

アパート経営の失敗例③物件選び

アパートの並んでいる写真 アパート経営において最も重要なのは、入居してもらい、長く住んでもらうことです。
  • 価格
  • 表面利回り
  • 築年数
上記のような点だけが好条件のアパートであっても、高い入居率には期待できません。 また、土地の取得からアパートを建築する場合においても、その土地にあった条件でなければ、たとえ新築であっても空室率は高くなってしまいます。

回避策:相対的視点を持って物件を選ぶ

人口が減り始めている日本において、長く、安定してアパート経営をするには「今後も一定の需要が期待できる立地」であるとともに「地域のニーズを満たした条件」「ライバル物件に競り勝てる魅力」が求められます。
アパート選びで見るべきポイント
  • 周辺エリアのニーズを満たした間取り・広さ・設備か?
  • 過去の入居率は?
  • 過去の修繕歴と今後の修繕計画は適切か?
  • 競合物件と比べて見劣りしないか?
  • 将来的に人口が維持できるエリアか?
  これらの点から、稼ぎ続けられるアパートかを相対的に判断しなければなりません。  

まとめ

アパート経営の失敗要因は「知らない」ことに集約されます。どんな投資にも、リスクはつきもの。リスクを回避するには、学びが必要です。 アパート投資は長期にわたるものですから、学び続けることが重要だといえるでしょう。
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ライター紹介

亀梨奈美株式会社realwave代表取締役/不動産ジャーナリスト

大手不動産会社退社後、不動産ライターとして独立。2020年に株式会社realwave設立。不動産全国紙の記者として、不動産会社や専門家への取材多数。
大手出版社や不動産会社、メガバンクへの寄稿やセミナー登壇など「わかりにくい不動産を初心者にもわかりやすく」をモットーに活動している。

亀梨奈美

不動産オーナー経営学院リーブス REIBS|不動産を所有してから学ぶ、不動産オーナーのための経営学院|基礎から学び、成果に結び付けるカリキュラム|2013年創業

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