不動産投資で考える資産税対策と3つの節税をわかりやすく解説!経費化できる14の具体例を紹介
2021.10.28
資産税(しさんぜい)とは、保有する資産に対して課税される税金の総称で、実は、「資産税」という税金の種類は存在しません。
しかし巷では、資産税といえば、不動産などの資産をもつ人に対して課される「重たい税金」というイメージを持つ人も多いのではないでしょうか。
そこで、ここでは「資産税」に注目し、資産を運用したい、保有する資産を守りたいと考えている人に向けて解説をしていきます。
以下にて、不動産を所有する、事業を経営する人に向けた税金対策をまとめました。
<3回シリーズ>税金対策まとめ
目次
資産税とは?
資産税というと、たとえば土地や建物などの資産を所有している場合には固定資産税を、相続などで財産を取得する際には相続税を、また資産を売却する際には譲渡益に対して所得税や法人税という税金がかかります。
固定資産税(こていしさんぜい)→資産を保有するときに税金がかかる
相続税(そうぞくぜい)→資産を移すときに税金がかかる
所得税(しょとくぜい)→利益を出したときに税金がかかる
このように資産の保有、取得、売却に際して課税される税金を、「資産税(しさんぜい)」と総称されることが一般的のようです。
日本は海外と比べて相続税が高いと言われおり、実際に2015年には日本の相続税の最高税率が55%に引き上げられました。
一方で世界では、相続税がない国も珍しくはありません。オーストラリアやスウェーデンなどは相続税を廃止しており、資産家が相続税などがかからないオフショア(国外)への資産フライト(資産逃避)する動きなどもあります。
ただし、日本は資産税が総じて高い一方で、不動産の所有権が認められたり、資産価値の安定性といった側面があるため、一概に税金だけで考えるのではなく、まずは日本でしっかりと資産税対策をすることをここではお勧めしています。
プロの実例に学ぶ!不動産を保有するうえで知っておくべき資産税まとめ
不動産経営で節税するとは?
資産税対策をするうえでは、まず節税(せつぜい)という言葉が浮かぶのではないでしょうか?
節税と言えば、税金を節約したい?税金を払わない?と連想する方もおり、節税への誤解が多いと思いますので再度考えてみましょう。
そこでみなさまは節税対策についてどのようなイメージをお持ちでしょうか。
先に答えから言いますと
①本来払うべき税金を少なくすること
②優遇税制や特例などを使って控除(こうじょ)を受けること
③一度払った税金の還付(かんぷ)を受けること
などがあります。
つまり、本来支払うべきお金が手元に残ることが節税の効果と言えますね。
さらに言うならば、何も節税対策を講じなければ当然税金を支払わなければならないが、節税対策を講じることで本来支払うべき税金が課されなかったり、税金の還付を受けることができるので、結果として節税をすればお金を手元に残すことができるのです。
節税をする方法とは?
不動産経営をすると節税になる。
その方法の1つとしてアパートを建てることは有名です。
しかし、アパートを建てた時点では「節税」にはなりません。アパートを建てた後に毎年の税金の支払いを上手くコントロールしたり、税務申告や届出などを行うことで節税の効果が得られます。
さらに言えば、節税の方法は100以上あると言われています。
つまり不動産経営をして、資産や利益やバランスよく、うまく組み合わせることで資産税対策の幅が広がります。そこで、基本は資産税の仕組み(何をすると税金がかかる?)を知ることですので、後ほど代表的な節税方法を解説させて頂きます。
節税をする目的とは?
節税をする目的は、
・相続時の税金を下げたい
・今期の税金を下げたい
・投資の効率を上げたい
などが挙げられます。
しかし目的を優先するがゆえに、まちがった節税対策が横行しているというのが現実です。
たとえば「子どもへの事業承継を目的」としてアパートを建てるも毎年赤字経営が続く状況です。これでは毎年、大切な資産を減らしてしまい、さらに毎年赤字も膨らみ、投資によって大損をしてしまうからです。
赤字=節税ではありません。
節税目的のために資産を減らしてしまうことがないように注意して下さい。
節税の効果とは?
節税をすることでどんな効果が得られるのか?
この点については数多くの議論の余地があるでしょう。
「税金の支払い額が減る」というのは目に見える効果の1つですが、それ以外にも、資産形成をしていくうえで節税とセットで考えなければなりません。
私はこれまでの10年間で1万人以上の不動産オーナーさんとお話をしてきました。また私自身も実際に不動産を所有、経営するなかで、不動産経営をしている人はどんな節税をしているか?という点を中心に調べてきました。
実はこの「節税」と「不動産経営」はたいへん相性が良いのです。
その実務者の1人が私です。
たとえば海外に資産を飛ばすとか、タワマン投資や税金還付の特例などのグレーな節税に頼るのではなく、必ず合法的に毎年節税をすることをお勧めします。
さらに上場会社の社長レベルが行う節税方法も積極的に取り入れていくため、しっかりと税金の仕組みを理解し、税金の還付を得て、そのお金で次の資産を増やしていく流れをわかりやすくお伝えしたいと思います。
代表的な資産税は相続税
代表的な資産税は、「相続税」と言われます。
日本の資産税は、みなさんが所有する「資産」の多さによって、段階的に税率を引き上げる税制があります。
加えて、毎年の利益に対して「所得税」もかかります。
この相続税と所得税が累進課税(るいしんかぜい)という、多ければ多いほど高いことが課題です。
そこで、この2つの税金を下げる方法として、投資をすることで税金を下げることができます。
ですので、まずは相続税について考えていくとよいでしょう。
3つの節税の仕組みとは?
ここでは節税の基本的な仕組みについて考えていきます。
特に資産家に対しては重税を課すイメージがありますが、成功している資産家が必ず行っていることが「投資」です。
つまり、何かしらの行動を起こし、事業や、不動産などに投資をし続けることで節税の恩恵を受けらることが多いのです。つまり積極的に経済活動に参加する人には日本国の税制優遇が受けられる一方で、何もせずに防衛し続けようとする資産家に対して重税を課す傾向にあるでしょう。
投資をする人=税金の軽減処置
何もしない人=重税を課す
そこで、しっかりと税金の仕組みを理解して還付を受け、そのお金で次の資産を増やしていくことをわかりやすくお伝えしたいと思います。
税金の種類
税金は一般的には
①利益に対して課税されるもの(所得税や法人税)
②保有する資産に対して課税されるもの(固定資産税)
③保有する資産の移転に対して課税されるもの(相続税や譲渡税)
その他消費に対して課税されるもの(消費税)など
があり、不動産事業を行う上では、①~③の税金支払いのバランスを整えることが大切です。特に不動産などの大きな資産を保有していく上では「資産税対策」(資産税という言葉は造語)と言われており、資産の保有の仕方や、毎年の税金対策を行わなければ多額の税金が2重、3重と折り重なってしまうことも現実にあります。
3つの節税の仕組みとは?
そこで、3つの節税の仕組みを理解することで使いこなすことができます。
※実際に不動産をお持ちの方、所有を考えている方に向けた内容となっており、不動産オーナー経営学院で学習する中級編となります。中長期的な収支計画を立てて、計画的に毎年の節税を行わなければ、途中で節税効果がなくなる、あるいは節税スキームが崩れてしまい、税金が倍返しとなってしまう事態にもなりますので注意も必要です。
ここでは「不動産の節税の基本」をしっかり身に着けるための講義を一部紹介いたします。
確定申告書とキャッシュフローの仕組み
資料1:税務申告時とキャッシュフローの比較
まず節税対策を考えるうえで、個人事業主であれば所得税、法人であれば法人税の支払いを抑える上で大切な数字を見ていきましょう。
まず資料1より、税務申告時の「税引前利益」とキャシュフローの「税引前収益」について着目します。
「税務申告時の税引前利益」は、不動産事業で得られた利益から税務上必要経費として認められる借入金利や減価償却といった控除を差し引いた、最終的に課税対象となる利益のことです。
「キャッシュフローの税引前収益」は、実際に現金として支払ったもので、かつ経費として認められない元金返済やその他の支出を支払ったあとの収益です。
※この図では、堅実に不動産経営を行った結果、「税務申告上の利益」が28であるのに対して、「手残り現金」が3しか残らない状況となっています。これが節税対策を行っていない状態です。
⇒一般的に、不動産事業は毎年一定額の利益が見込みやすいため、ここで計画的な節税対策を行わなければ、毎年多額の税金を支払わなければなりません。
3つの節税対策を行うとは?
所得税や法人税を抑える上での節税対策は、主に3つの節税対策のポイントを基にして考えていきましょう。
1、経費化(経費)
→支出を伴うが経費となる
2、繰延べ(損金)
→支出を伴うが経費となり、利益を先延ばしする
3、控除(減価償却費、特別控除)
→支出を伴わないが経費扱いとなる
上記の3つの節税対策を行うことで税務申告上の利益を減らし、結果として税金の支払い額を下げることが節税の効果となります。
不動産投資による3つの節税と経費化できる14の具体例
次に不動産投資による3つの節税と経費化について紹介します。
※教科書の内容より一部抜粋しています。
経費化(けいひか)
経費化とは、税務申告時の課税対象の利益に対して、(1)お金の支出を伴うが経費計上できるものはないかを考えていくことです。
(1) 自家用車をリース会社へ売却し、社用車として5年リースにしてリース料を経費化する。
(2) 自宅兼事務所の一部屋を事務所にして事務所の家賃(地代)として経費計上する。
(3) 交通費や飲食代を必要経費に入れる。
(4) 短期間で減価償却できる物品や投資商品への投資運用をする。
(5) 回収不能となった損失や貸し倒れ損失を必要経費とする。
(6) 30万円未満の少額減価償却資産の特例を使い経費化する。
例えば、個人事業主では副業を行う上では、売上を上げるに必要な費用は申告すれば確定申告において経費として認められます。しかし、その事業規模が小さいと経費として認められる範囲が狭くなります。
特に30万円未満の少額減価償却資産の特例などは、実際にマンションの一室を副業で行っている程度では認められにくく、空室になれば売上がすぐ0になってしまう程度では計画的な経費化を考えることができません。
繰延べ(くりのべ)
繰延べとは、税務申告時の課税対象の利益に対して、(2)お金の支出を伴うが来年度以降に黒字を移転できるものはないかを考えていくことです。
(7) 定期保険へ加入する。一定期間保険料を支払い経費計上をし、数年後に解約した解約返戻金を雑収入として売上にすることで利益を先延ばしにする。
(8) 滞納家賃の回収金、借地の更新料、権利金受け取りなどを計上する。一時収入が高い場合は、数年間に渡り平均課税の制度を活用する。
(9) 当年度に事業等へ投資を行い、次年度以降に売上が立つものを計画的に見込む。
(10) 建物の取り壊し費用や立退き費用などを全額経費とし、数年かけて赤字を繰越する。
例えば、数年後に大きな出費(赤字)が計画されている場合には、当期利益を含めた数年間の黒字を損金算入される定期保険等に加入します。
ただし、個人事業主の場合は生命保険は事業者本人が自らを対象とするときは「生命保険料控除」の対象としかならず、税効果を求めるような契約は、一定の条件を整えた専従者、もしくは従業員が必要です。
控除(こうじょ)
控除とは、税務申告時の課税対象の利益に対して、(2)お金の支出を伴わないが経費計上できるものはないかを考えていくことです。
(11) 複式簿記による青色申告特別控除(10 万円控除→最大65 万円控除)
(12) 家族や奥様を従業員として給与を出すために青色事業専従者給与をとる。
(13) 小規模共済や経営セーフティ共済、確定拠出年金への加入
(14) 減価償却を即時に行える中古物件の建物や航空機、船舶等への投資を行うこと。
例えば、不動産事業であれば5棟10室の事業的規模に達していれば様々な控除を受けることができます。
この5棟10室とは、一戸建てなら5棟、またはアパート・マンションなら10室。貸付数が、この基準以上なら、不動産の貸付は「事業的規模」に達しているとされます。
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まとめ:資産運用学科について
海外と比べると日本の資産家は情報に弱く、安易なサービスに飛びついたり、資産隠しをしようとしてしまう傾向にあります。
とはいえ、実際に不動産などの資産を所有すると、明日から考えることがとても多くなります。筆者は、自身の体験を通して資産を持つみなさまの心境を少しでも理解し、行動するための情報を提供しています。
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