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かぼちゃのランプが夜に光っている

『かぼちゃの馬車』騒動の本質、サブリースについて徹底解剖しました

2021.10.17

ライター:横山 篤司

不動産経営をするうえでは、このサブリースという用語だけが独り歩きしてしまい、あたかも詐欺やトラブルのイメージが先行しています。

しかしマンションやアパートの建築が行われるなかで、その大半は未だサブリースが主流であり、サブリースでよかったという声もあります。

そこで、ここではサブリースを徹底解剖し、本来、賃貸オーナーが知っておくべき賃貸業の仕組みを解説します。

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サブリースとは

不動産の賃貸経営にはいくつかの運営方法があります。自分で賃貸経営をする人から、管理業務を委託する人、他に仕事を抱えているために完全委託している人まで、経営を行う上では様々な考え方があります。

サブリースは、その賃貸経営に関わるリスクの一切を不動産会社が受け持ち、残ったお金を一定額必ず受け取れるという不動産管理サービスのひとつです。

賃貸経営は、土地や建物を第三者に貸すことで収入を得る事業のことで、主に土地や建物を貸すことによって得られる賃料収入などの売上に対して、それらを管理することによって払う管理支出などの費用を差し引いた上で利益を得るビジネスです。

賃貸経営を行う上でサブリースを選ぶ人の多くは、この賃貸事業に関わる業務を完全に委託し、その業務にかかる費用を支払ってでも、必ず利益を一定額残していきたいと考えております。また、賃貸経営のことが分からない初心者でもお金さえあれば不動産に投資して、その利益を受け取ることができます。

逆に1円でも多く利益を受け取りたいと考えている人の多くは、自分で賃貸経営を行ったり、管理業務の一部を委託してお金の管理だけを行いたいと考えています。
しかし、経営方法を間違えれば売上が下がったり、あるいは費用が上がってしまい、自力経営では利益が残らないというリスクがあります。
よって一般的には経験者を積まなければ賃貸経営を自力で行うことは困難であると言われています。

不動産オーナー経営学院の解釈

賃貸経営は誰でも行うことができます。日本では、賃貸事業はサラリーマンであっても副業規定から除外されることが多く、本人の両親や親族が所有する物件の賃貸管理も日常的に行われています。

但し、不動産投資=賃貸経営ではありませんので、不動産の買い方を学ぶ不動産投資と、購入してからの賃貸経営を併せて知っておくことをおすすめします。
つまり、不動産を購入する上で必要とされる知識は、融資、利回り、運用というものに対して、賃貸経営を行う上で必要とされる知識は、賃料アップ、効率的な管理方法、リフォームによる価値向上といったものです。
そして不動産を購入してから売却するまでに、この運用で失敗してしまいますと、売却価格が大きく値下がりしてしまいます。
この運用の考え方をしっかり学ぶことが堅実な不動産投資を行う上で必要とされる知識です。

不動産賃貸におけるサブリースの仕組み図

サブリースのメリット

サブリース賃料と契約の流れ

通常の賃貸経営では、物件所有者である不動産オーナーが入居者と賃貸借契約を結び、家賃を受け取ります。
サブリースの場合は不動産会社が不動産管理サービスを一括で請け負い、入居者に対して転貸する契約を結びます。
サブリースも同じ賃貸経営の仕組みで家賃を受け取りますが、その家賃を不動産会社が一度受け取り、様々なリスクを排除した上で、不動産オーナーへ支払う仕組みです。

空室リスク・家賃下落リスクの回避

不動産オーナーはサブリース会社(不動産会社)に建物を一括で借り上げてもらい、サブリース会社から一定の賃料を得ます。
よって、建物を一括で借り上げてもらい「空室になるリスク」をなくし、かつ建物が古くなるにつれて「家賃が減っていくリスク」をなくすという2つのメリットがあります。

多くの場合、サブリース賃料は周辺の賃料相場をベースとして一定割合で決められ、空室であったり、入居者に滞納があっても賃料が保証される「家賃保証」があります。
入居者はサブリース会社と賃貸借契約を結ぶので、入居者の信用問題から家賃の滞納といったリスクをすべてなくすことができます。
その代りにサブリース賃料は満室時賃料から85%~95%という保証後の賃料が不動産オーナーに支払われます。

不動産管理を一括で任せることができる

また、サブリースの定義において、本来は不動産オーナーから一括借り上げをすることを「マスターリース」と呼び、借り上げた物件を入居者に対して転貸する契約を「サブリース」と呼びます。
このように不動産会社が不動産管理サービスを一括で請け負い、管理費用が上下することを防ぐことが大きなメリットです。

不動産オーナー経営学院の解釈

不動産オーナーの仕事は情報収集と意思決定です。

まず新築時は自分の力で賃貸経営することをおすすめします。
賃貸事業は、どのような用途の物件であれ、新築時は空室になるリスクが少なく、家賃が減るリスクも少ないのが一般的です。
10年ほど経過すると、多少のてこ入れが必要となり、リフォームをしたり、設備を取り替えることも必要となるでしょう。
よってリスクの少ない時期は自主経営をし、リスクが高まってきたら保険の加入や家賃保証会社への加入を行う方が金銭的には効率的です。
具体的な戦略としては、新築時は不動産仲介会社に賃貸募集業務を任せて満室にすることで、10年ほどは賃料収入が減ることもなく満額賃料を受け取ることができます。
そして新築時より10年から15年ほど経過したのちにサブリースに切り替えるという戦略が理想ですが、途中からサブリースを受け入れる不動産会社はそこまで多くはありません。

次に、賃料相場を自分で調査することをおすすめします。不動産会社より提案される賃料相場が実はかなり低く見積もられており、実際には賃料を高く貸せたのに、かなり低い手取り額で契約してしまったというケースもあります。
不動産の経営者として、サブリースの契約を不動産会社と結ぶ前に、自分で賃料相場をしっかり調査することをお勧めします。

サブリースのデメリット

30年一括借り上げでも同じ賃料が保証されない

サブリースでは、最大30年間の長期保証をサービスとして謡っている不動産会社が存在します。
しかし、30年間の一括借り上げで同じ賃料が保証されることはほとんどありませんが、不動産会社からの提案資料を見ると、賃料が一定期間の後に下がっていく計画書を見たことはほとんどありません。
長期保証で賃料が一定額保証されることは事実だが、収支計画では不確定要素の強い賃料を上げ下げすることは非常に困難であるというのが理由です。
よって、賃料額の保証はないと理解しましょう。

ローン返済計画が組みにくい

不動産は通常、物件を担保にお金を借ります。つまり収入を担保にお金を借りるのではなく、不動産という資産に対してお金を借りるため、途中で収入がなくなったり、収入が減ってしまうと、ローンの返済が滞ってしまうことがあります。

例えば新築物件を建築してサブリースを組むとします。ローン返済計画においては、毎年一定額の返済があるので、賃料収入を基準としてローンの返済計画を作ります。
ここで新築時の賃料収入を基準としてローンの返済計画を作ってしまうと、途中で賃料額の保証が下がった時にローン返済ができなくなる恐れがあります。

サブリース会社が倒産する

一括借り上げとサブリースをサービスとして展開している会社は、大きく3つあります。

  • 大手開発会社や新興の開発会社
  • サブリースのサービスと管理をセットで請け負う管理会社
  • サブリースのサービスと工事をセットで請け負う設計会社やリフォーム会社

中小企業は数年で倒産してしまうこともありますが条件が良い一方で、大手不動産会社は潰れるリスクは少ないものの条件は悪いのが一般的です。

サブリース賃料の金額が想定(架空)である

サブリースの契約において、サブリース賃料が一収入を決める上で一番注目すべき数字です。この調査はサブリース会社からの提案に対して、不動産オーナーからの要望を基に契約が結ばれるため、不動産オーナーが素人であれば、安いサブリース賃料のまま契約してしまうこともあります。また高利回りを謡うサブリース会社の中には、高額な賃料設定で初期契約を勧め、数年後の賃料改定で10%~20%の家賃を下げたというケースがあります。これらのケースでも不動産オーナーが裁判で勝てない原因の多くは、当初結んだ契約の段階で、契約書には家賃値下げを想定しているからです。つまり、最初から仕組んでいるのです。

※参考 賃料相場をしっかり分析してみたい方におすすめ
=>不動産オーナー経営学院(賃貸経営学科 賃料調査科目)

→かぼちゃの馬車問題とは?(例)

敷金や礼金も受け取れないことがある

賃貸経営は、賃料収入のほかに、たとえば自販機、付属収入設備、コインランドリー、駐車場などの収入など、賃貸経営を行う中で様々な収入が見込まれます。
サブリース会社と契約する上で、これらの収入については、双方の契約の中で変更することができます。
つまり、建物から生まれる収入についてはサブリースの中で保証してもらいますが、その後に追加予定の自販機やコインランドリー、建物敷地の外にある駐車場の収入まですべてサブリース会社に任せる必要はありません。

敷金や礼金は新築時は多く取れる一方、築10年から20年も経てば礼金はせいぜい1カ月、場合によっては敷金礼金が取れないこともあります。
よって新築時にサブリースをしてしまうと、これらの収入権もなくなってしまうので予め認識しておきましょう。

サブリースの定義

サブリースのサービスは、主に
・一括借り上げによる建物管理のすべてを委託する
・家賃保証をしてくれる
という2つのサービスがあります。
しかし、多くの人が誤解をするのは、サブリースに入ったのに家賃手取りが下がる、リフォーム代を請求された、監視カメラや宅配ボックスを売らされた、といった全国各地からのクレームを信じてしまっていることです。
その不動産オーナーの多くは、サービス内容をよく分からずにお金が入ることだけを信じてしまった人たちです。

これらのサービスを比較すると次のようになります。

  サブリース  管理委託  自主管理
入居者管理(PM) 10~20%  3%~5%  外注可能
建物管理(BM) 上記に含む  5~10%  外注可能
 敷金・礼金受取り  サブリース会社  オーナー  オーナー
 家賃保証  あり  なし  なし
空室保証  あり  なし  なし
リフォーム保証  なし  なし  なし
 契約期間  2年~長期間  通常2年  自主
 入居者との契約  サブリース会社  オーナー  オーナー
 火災保険など  なし  なし  なし

家賃保証と家賃額の保証の違いとは

家賃保証に入ると、空室でも家賃が入る、家賃額が一定になるのでローンが組みやすいと、思っている不動産オーナーがいます。家賃保証とは以下のような定義です。

家賃債務保証事業とは

家賃保証会社(やちんほしょうがいしゃ)は、賃貸住宅の契約時に必要な賃借人の連帯保証人を代行する会社です。
つまり、不動産の賃借人との間で保証委託契約を締結する会社になります。

賃借人が家賃の滞納などの家賃債務の債務不履行をした場合、賃借人に変わって家賃保証会社が代位弁済を賃貸人に行います。

つまり、家賃保証とは、入居者が何らかの原因で家賃が払えなくなった際に、家賃保証会社が代わりに払うというサービスです。また、その入居者審査の代行や保証人の代わりとして家賃の1カ月分を払うことで、不動産オーナーは入居者の滞納リスクを免れることができます。

大手家賃保証会社では以下のような会社があります。

・全保連株式会社
・日本セーフティー株式会社
・日本賃貸保証株式会社

信販系家賃保証会社では以下のような会社があります。

・アプラス
・オリエントコーポレーション(通称オリコ)
・ジャックス

よって、家賃額の保証を行うというサービスはこの世の中には存在しません。
不動産会社と不動産オーナーの契約において、〇年ごとに家賃支払いの見直しを行うという双方の契約の一部です。

家賃保証会社と管理会社の違いとは

家賃保証会社に任せると、手放しで管理費が3%下がった、収益があがったと、あたかも建物管理全般を受けるイメージが先行しています。
近年では家賃保証会社の一括見直しサービスなどがありますが、管理会社を変更する切り口のひとつにしか過ぎません。
つまり、保証サービスの見直しを行うなかで、管理会社を変更しませんかという売り込み方法のひとつです。

リフォーム費用はかかるが追加投資を行う義務はない

全国の不動産オーナーのクレームの多くは、サブリース会社から10年目で急に外壁工事の見積もりや、監視カメラや宅配ボックス等の追加投資を勧められたというケースです。
悪徳なサービス会社には、その請求を飲まなければサブリースを解約する、契約書に違反するので家賃保証はできないと脅されるケースもあります。

必ず弁護士へご相談ください。

リフォームやリノベーションを条件とするサブリース

賃貸経営がうまくいっていない、空室が多いという理由でサブリースに依頼する場合、リフォームやリノベーションの工事をすることが条件となることがあります。
つまり工事代に対しては交渉しづらい一方で、空室などの賃貸経営の悩みからは解放されます。
しかし、リノベーション会社の多くは部屋に留まらず、物件全体の大規模なリノベーションを提案する不動産会社もおり、そこでの工事利益を大きく取ることでサブリースを引き受ける場合があります。
現実には築古物件のリノベーションでは、次から次へと補修が続き、結果としてその工事費用を回収できずに物件売却してしまう不動産オーナーが続出しています。

※参考 築30年を超えてからの賃貸経営をお考えの方におすすめ
=>不動産オーナー経営学院投資学科 物件調査科目

まとめ

サブリースは管理業務を委託する上での選択肢のひとつです。
自主管理、管理委託、サブリースなどの一括借り上げという選択肢の中で、自主管理を行えば運用利回りが高いというメリットがある一方で、手取り収入が不安定となることがあります。

サブリースは賃貸経営自体を外部委託してしまうので、賃貸経営に自信がない人でも始めやすい、お金を持っており運用利回りを重視している人には魅力的です。

自主管理以外を選択する場合でも、経営者として情報収集と意思決定は大切にしましょう。
特にサブリース契約を結ぶ場合は最初が肝心です。契約書の確認をしっかり行いましょう。

不動産ローンを組む際は、しっかり手元にお金が残るかどうかを確認しましょう。
不動産会社からの提案書の中で、家賃額が30年間一定額、火災保険や修繕費が安い、定期検査などの諸経費が含まれていない場合は、後々トラブルとなることが多いため、注意しましょう。

不動産オーナー経営学院の投資学科では、不動産投資を行う上での売上や費用項目のチェック、運用方法やトラブル事例などを徹底的に分析します。
もし不動産投資を行う場合は、事前にすべての情報を体系的に学んだうえで挑戦してみてください。

 

 

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ライター紹介

横山 篤司地主学第一識者/不動産オーナー経営学院代表/執筆者・ライター

地主学第一識者/不動産オーナー経営学院代表/執筆者・ライター/NewYork留学、外資系投資銀行、不動産経験20年/不動産経営を分かりやすく教える事を大切にしてます。これまで日本で10,000人以上のオーナーと話し、不動産学として事例や成功体験を研究。創業80年名古屋の三代目地主の家系に生まれる。自らも実業家として宅地建物取引士、事業承継マネージャー、マンション管理業務主任者の資格を保有。プロの不動産投資を学び、家業再生にも力を入れ、借金を数年で完済することに成功。現在はビルやマンション、商業施設、駐車場等を経営。

中小企業庁主催「事業承継セミナー2017」モデル企業登壇/JFMA「不動産MBA」研究員/週刊ビル経営「建替え経営学」連載/全国賃貸住宅新聞/月刊不動産流通(宅建協会)ほか。

横山 篤司

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